シーホース三河

フロアバランスの良い攻めと徹底したヘルプディフェンス

天皇杯3次ラウンドでシーホース三河は琉球ゴールデンキングスと対戦し、前半で奪った2桁リードを最後まで維持して85-60で勝利した。

三河は立ち上がりからボールと人がよく動き、自分たちのペースでオフェンスを展開。シュートチャンスを得ても、エクストラパスを出すことで確実に得点へと繋げていく。ダバンテ・ガードナーと金丸晃輔がディフェンスを外に引き寄せて中にスペースを作り出しては、カイル・コリンズワースとシェーファー・アヴィ幸樹の合わせが決まり、開始2分半で6-0に。さらに、このタイミングで琉球の大黒柱、ジャック・クーリから2つ目のファウルを奪い、早々にベンチに下げることに成功。三河はその後もガードナーが外にビッグマンを引き寄せては、ポイントガードながら198cmとサイズがあるコリンズワースがオフェンスリバウンドに飛び込みセカンドチャンスをモノにしていく。また、全員が3ポイントシュートを打つことで、外と中からバランス良く得点を重ねていった。

一方の琉球は、クーリーを失い攻めの起点を定めることができない。チーム全体でシュートタッチも悪く重い時間が続き、開始4分でドウェイン・エバンスのドライブが決まりようやく初得点を挙げる。その後もエバンスや並里成、田代直希がペイントアタックを試みるが、三河のヘルプディフェンスに対応されペイントエリアに入ることができない。それでもセカンドユニットの牧隼利が前が空けばすかさずシュートを放ち、岸本隆一もボールプッシュすることで徐々にリズムをつかみ得点が決まり始める。

40-21と三河が19点リードで迎えた後半。前半はファウルトラブルに陥り、0得点4リバウンドに終わったクーリーが息を吹き返し、第3クォーターだけで13得点を挙げる。前半は単発な攻めが続いた琉球だが、後半になるとクーリーにボールを集め、ようやくチームオフェンスが機能し始める。そのクーリーはピック&ロールやセカンドチャンスで4連続得点を挙げ、チームに勢いを与えていく。こうして琉球がリズムに乗り始めると、残り4分半で並里のフローターが決まりついに点差は1桁に。

しかし、三河のエース、金丸が続くポゼッションでフェイダウェイシュートを沈め、再び点差を2桁に戻す。金丸に続くように、今度はガードナーがクーリーから3つ目のファウルを誘いバスケット・カウントを奪う。クーリーがベンチに下がると、ガードナーはインサイドではパワーで押し切り、アウトサイドでも味方へのアシストを供給するなど、オフェンスの起点として活躍。こうして三河は再び点差を広げ、主導権を握った。

琉球ゴールデンキングス

田代直希「悪い流れを断ち切ることの難しさを痛感」

65-46と三河がリードを広げて迎えた最終クォーター。琉球はディフェンスリバウンドからの速いバスケットを展開するが、焦りからか単発なプレーが再び増え始める。対する三河は時間を使いながらハーフコートオフェンスでじっくりと攻めて得点へと繋ぐことで、最後まで自分たちのペースでバスケットを展開し85-60で準決勝進出を決めた。

敗れた琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは「スタートでゆるく入ったわけではなかったですが、オフェンスの共通認識ができてなかったことで流れを渡す展開になってしまいました」と試合を振り返った。「天皇杯というトーナメント戦で負けてしまったことは非常に悔しいことですが、今回の敗戦から修正し、しっかり切り替えてレギュラーシーズンを戦いたいと思います。そして最終的にキングスが勝利できるようにチームを高めていきたいと思います」

キャプテンの田代直希も、「負けるときは同じような展開での負けになってしまい、あらためて悪い流れを断ち切ることの難しさを痛感した試合でした」とし、今後のレギュラーシーズンへの課題を語った。「守りからリズムを引き寄せたいチームであるにもかかわらず、攻撃の悪い流れから我慢し続けることができず、守りにも悪い影響が出てしまったのは改善しないといけないです。チームの共通認識を深めコミュニケーションをより多く取っていくことが絶対条件なので修正して次に繋げます」