四日市メリノール学院中

大黒柱の福王伶奈は得点が伸び悩むも、キャプテンがチームの流れを変える

『Jr.ウインターカップ2020-21』最終日の今日は男女ともに準決勝と決勝が行われ、女子は京都精華学園中学校(京都)と四日市メリノール学院中学校(三重)が決勝へと駒を進めた。

決勝戦では、前半に最大13点のビハインドを背負ったメリノール学院が、第3クォーターを20-12と圧倒して点差を縮め、延長戦までもつれる拮抗した戦いとなったが、60-56で逆転勝利を果たし、初代王者の座に輝いた。

京都精華は187cmのディマロ・ジェシカ・ワリエビモ・エレを、メリノール学院は192cmの福王伶奈を擁し、ともに今までのようにはインサイドでの高さを生かせずに、序盤は拮抗した戦いが続く。さらにメリノール学院は、ジェシカに対しダブルチームを徹底してペイントエリアで自由を与えない。それでもジェシカはリバウンドで奮闘し、ディフェンスリバウンドを取っては、すぐに司令塔の堀内桜花へパスを繋いでアウトナンバーを作り出す。京都精華は、ハーフコートオフェンスでも高さやスピードのミスマッチを上手く突くことで、自分たちのリズムで次々と得点を決めていく。

対するメリノール学院は、ここまで平均30.7得点を挙げている大黒柱の福王がジェシカのパワーと身体能力に圧倒され、前半はわずか4得点に終わる。インサイドを使えないことで、オフェンスは外一辺倒になり3ポイントシュートが増えるが、前半は12本中1本成功と苦戦。リバウンドでも12-21と圧倒されて、前半は最大13点のビハインドを背負う。

22-32とメリノール学院が2桁ビハインド追いかける展開で迎えた後半。ともに得点が伸びず重い展開が続いたが、メリノール学院のキャプテンであり司令塔の東紅花がボールプッシュして自らリングにアタックすることで、チームに勢いを与える。さらに前が空けば積極的に3ポイントシュートを放ち、第3クォーターだけで13得点を記録。メリノール学院はディフェンスでもジェシカに対して3人で守ることで、このクォーターではジェシカを2点に抑えることに成功し、42-44と2点差まで縮めて最終クォーターへ。

四日市メリノール学院中

メリノール学院の稲垣愛コーチ「大会をやれたことに本当に感謝です」

ここまでは思うようなプレーができなかった福王だが、走り続けることでチームに貢献。そして、最終クォーターの残り6分50秒で仲間のディフェンスリバウンドからのロングパスを受けた福王がシュートを沈め、44-44と同点に。その後、メリノール学院は東が足をつりコートを離れるアクシデントが起きたが、全員でハードにディフェンスをすることで、京都精華をペイントエリアには入れさせない。こうして一進一退の戦いが続き、32分間では決着がつかず延長戦へ。

51-51で迎えた延長戦。開始10秒でメリノール学院が永福歩暖のフリースローで先制するが、この後も一進一退の戦いが続く。そんな中でメリノール学院は東が足をつりながらも3ポイントシュートを沈めて点差を離していく。ディフェンスでも全員で連携しながら守ることで、京都精華を単発プレーへと追い込む。オフェンスでも東だけでなく黒川心音も勝負どころでミドルシュートを沈め、60-56で接戦をモノにした。

この試合では、大黒柱の福王が8得点と苦戦したが、ここまで平均5.0得点の東が3ポイントシュート5本成功を含む、ゲームハイの26得点を挙げてチームを引っ張った。また、ここまで平均33.6得点のジェシカを、この試合では19得点に抑えるチームディフェンスも大きかった。

勝利したメリノール学院の稲垣愛コーチは「本当に大会をやれたことに感謝です。本当に大変な状況の中での大会となりましたが、開催できたことに感謝しています」と、試合後の第一声で感謝の言葉を口にした。