ジョエル・エンビード

「この調子をキープしてもっと良くしていきたい」

セブンティシクサーズは現地1月4日のホーネッツ戦で試合の大半で2桁のリードを守る完勝を収めた。これで6勝1敗と開幕ダッシュに成功。NBAの全30チームで勝率トップに立っている。好調の要因はディフェンスが機能していること。その中心にいるのがジョエル・エンビードだ。ペイントエリアへの侵入を許さず、相手を威圧し、リバウンドを制する。

ここまで23.2得点、12.3リバウンド、3.0アシスト、1.7ブロックを記録しているエンビードを、ドック・リバースは「偉大なプレーヤー」と評価する。ディフェンスでの貢献はこれまでにも実証済み。指揮官が称えるのはオフェンス面でもチームを動かしていることだ。自らの得点に加えて、今シーズンはトビアス・ハリス、セス・カリー、ダニー・グリーンのシューター陣へのチャンスメークでもエンビードの貢献は大きい。

「ジョエルは我々のためにプレーをセットする。素晴らしい選手はガードだろうがビッグマンだろうがトラップを仕掛けられるものだが、ジョエルはトラップを逆手に取って得点に繋げる。仲間の信頼を感じながらプレーしているんだ」と指揮官は言う。

それでも、快勝したホーネッツ戦を終えてエンビードが語ったのは自分のプレーではなく、ベン・シモンズの働きだった。「ベンの仕事ぶりはすごい。特にカッティングの動きで相手2人を引き付けられるから、ウチのシューターたちはワイドオープンになりやすい。僕は飛び込んできた彼にボールを預けることもできるし、オープンになった逆サイドにパスを出すこともできる。今のチームのプレーはすごく気に入っているし、この調子をキープしてもっと良くしていきたい」

エンビードとシモンズ。オフボールでの動きも含めて2人の個性が噛み合うことで、シクサーズは攻守に機能している。エンビードのアシストは昨シーズンと比べて伸びたわけではないが、アシストに繋がるパスは大きく増え、ダブルチームを仕掛けられた彼が冷静にパスをさばくことで相手ディフェンスを崩す形が機能している。また今シーズンはターンオーバーが昨シーズンの3.1から2.5へと減っており、周囲もエンビードを信頼して自分のプレーに集中できている。

昨シーズンのプレーオフは1回戦でセルティックスにスウィープ負け。故障者続出という理由はあったが、期待外れの結果であり、オフにはエンビードかシモンズのいずれかをトレードに出してチームを再編すべきとの声が上がった。だが、球団はヘッドコーチとGMを代えたが、2人のエースには手を付けなかった。ここまでその判断は完全に正しかったと言える。強烈な個の力を持ち、それぞれがダブルチームに行かなければ止められない2人は、連携した動きでシクサーズの攻守を高いレベルへと押し上げている。