河村勇輝

横浜ビー・コルセアーズに特別指定選手として加わった河村勇輝がZoom取材に応じてくれたのは、12月31日の午後だった。大学バスケのオフシーズン、つまりBリーグで自分の成長を試す期間も、河村は単位取得のために授業に出なければならない。慌ただしい中で河村がホッと一息付けるのが、年内最後の練習を終えた大晦日の午後だったのだろう。「何の予定も入れていないので、一人寂しい年末なんです」と屈託のない笑みとともに語るが、『自分に打ち勝つこと』をテーマとする彼にとって大事なのは「プライベートも含めて時間をどう使うか」であり、ここで取材を片付けてしまうのが最善の方法だったに違いない。2020年の最後に、河村は自身の成長とビーコルでの抱負、終わったばかりのウインターカップまで、多くを語ってくれた。

「福岡第一が負けたのは、僕自身もすごく悔しかった」

──ウインターカップが終わったばかりですが、1年前に自分がプレーした大会をどんな気持ちで見ていましたか?

練習とか試合とかで全部の試合を見たわけではなくて、ハイライトで少し見ただけの試合も多いんですけど、それこそ激アツなブザービーターとか接戦の試合がすごく多くて、見てる方もやっている側も白熱した感じがあって、すごく良いウインターカップだったと思います。

福岡第一が負けたのは、僕自身もすごく悔しかったですけど、自分よりもハーパー(ハーパージャン・ローレンス・ジュニア)を始めとする3年生だったり井手口(孝)先生が本当に悔しい気持ちだったと思います。負けた時は自分もビーコルで負けてしまって、ウインターカップの第一も自分たちも勝たなきゃいけない試合を落としていたので、いろいろ複雑な気持ちになりました。

その日に井手口先生とはLINEをさせてもらったんですけど、ごめんなさいと謝る感じだったんです。これまで僕が優勝できたのも、ここまでやってこれたのも井手口先生のおかげですし、今回コロナで難しい状況にもかかわらず福岡第一は結果を出したと思うんですけど、井手口先生が謝るということに僕自身もグッと感じるものがありました。

──昨年大会では同じ舞台で戦った東山の米須玲音選手、仙台大学附属明成の山﨑一渉選手が大きな成長を見せてくれました。後輩たちに負けていられない、という気持ちはありますか?

試合を全部見たわけじゃないですけど、レベルの高さは感じました。年々上がっているという感じはあります。高校生にライバル意識を持つことはありませんが、高校バスケがあれだけ熱い展開で日本のバスケットボールを盛り上げてくれていることに関して、僕もそういった立場でありたいと思います。僕たちはBリーグで熱い試合をお見せして、いろんな人に感動してもらいたいです。そこは高校生に負けていられないなと思いました。

──今回、ビーコルに入った経緯を教えてください。

プレータイムのこともありますが、今回は大学生として勉学がすごく大事な時期です。オンライン授業もありますけど対面授業も始まって、特に1年生は東海大に戻って受けなければいけない授業もたくさんあります。陸川章先生とも話したんですけど、授業をちゃんと受けて単位を取るのが最優先、その中でプレータイムをもらえてしっかり学べるチームはどこかと考えた時にビーコルになりました。

──今は東海大の寮からビーコルの練習に通っているわけではないですよね?

練習場の近くに住んでいます。授業の日は大学に行って、試験の時は寮に戻らないといけないと思います。

河村勇輝

「今回は大学で学んだことをビーコルで試すという感じ」

──昨年はウインターカップを終えてすぐに三遠ネオフェニックスに特別指定選手として加わりました。そこから1年、東海大での経験もあってBリーグに戻ってきましたが、どんな思いで今回のビーコルでの挑戦に臨みますか?

高校3年生の時に三遠でプロを経験させてもらって、その経験から毎年1回はプロでやっていきたい気持ちがあります。その中で三遠の時に課題として残ったフィジカル的な問題であったり、ゲームコントロールの部分を大学を通じて、まだ1年間で完全ではないですけど学ぶことができて、それを日本最高峰の舞台であるBリーグで試して、自分がどれだけ成長できているのかを確認したいと思っています。なので今回は大学で学んだことをビーコルで試すという感じです。

──前回のBリーグ挑戦から1年が経過して、自分が成長できたと思うところはどこですか?

東海大では本当にバスケットのことを学ぶことができたと思います。特にハーフコートのオフェンスなんですけど、高校の時はトランジションがすごく多くて、三遠でも結構トランジションが多かったのですが、ビーコルはハーフコートのオフェンスも多いので、そこで僕は東海大で学んだハーフコートのオフェンスの知識があるので、ビーコルの練習にもすぐに適応できたと思います。いろんなバスケットを学ぶことでバスケットIQを鍛えられているとは思います。

──Bリーグで通用していると思う部分はどこですか?

ディフェンスですね。もともと僕は結構足を動かしてプレッシャーを掛けていくタイプなので、そこはもっとBリーグでも出していきたいです。それと大学でフィジカルもかなり鍛えて、体重だけで言えば2、3キロは増えました。まだまだの部分もあるんですけど、より強いディフェンスをやれたらと思います。

本格的にトレーニングを始めてまだ4カ月か5カ月なので、完全に適応しているかと言われるとまだまだなんですけど、やっていくうちに身体が適応しだしたら、もっとスピード溢れるプレーもできると思います。バンプとかもそうですしコンタクトのところも強くなっています。さすがにBリーグの外国人選手とやり合うとそこは全然無理ですけど、慣れてきた感覚はあります。

──ビーコルに加わって練習と試合を経験して、最初の2週間でどんな手応えを得られていますか?

若手も多いし竹田謙さんのようなベテランもいるし、すごく個性豊かで良い雰囲気でバスケットをやれています。一人ひとりがプロ意識を持っているという部分では三遠も同じですけど、バスケットの考え方は違っていて面白いです。

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