マルチな活躍も「全然満足できなかった」
県立小林は三田松聖を92-71で下し、ウインターカップ初戦を突破した。
小林は12年連続、通算37回のウインターカップ出場を誇る宮崎の古豪。昨年は準優勝校の岐阜女子に敗れ、ベスト8で涙を飲んだ。キャプテンの江頭璃梨は「ベスト8の壁って大きいんだなって。ベスト4に上がるのは簡単そうに見えて簡単ではない大きい壁だなと思いました」と、当時の記憶を忘れていない。
その江頭はチーム最長となる約25分間のプレータイムで、10得点10リバウンド5スティールとマルチに活躍した。それでも本人は「20点くらいは取って、声もかけて、リバウンドももっと取りたかったです。背中で引っ張っていけなかったので、全然満足できなかった」と、勝ってなお悔しさを滲ませた。
小林は『世界一楽しむ』ことをテーマに掲げている。楽しむと言っても、その解釈の仕方は価値観の違いによって様々だろう。彼女たちの場合、キツい状況を乗り越える瞬間がそれに当たるという。
「シュートを決めて楽しいと思うのは普通じゃないですか。20点負けている時に、前から仕掛けて逆転しようみたいな。キツいけど頑張ろう、楽しもうっていうのが自分たちの楽しみです」
こうした逆境を楽しむことができるのは、『日本一』という高い目標があるからだ。そして、願いを叶えるために前祝をすることでそれが現実に近づくという『予祝』を行っていることも大いに関係している。
「予祝の手紙に日本一を取りましたと書いて、一緒に頑張りましょうと先生に渡しました。自分で書いて、思って喜ぶ。そのテンションを知ることで、本当に思っているものはつかめるんです」
小林は連戦となり、明日は和歌山信愛を倒した佐賀北と対戦する。江頭は「今日は良くなかったので、次は修正してもっと圧勝できるように頑張りたい」と意気込んだ。予祝は現実化するか、しばし見守りたい。