今日15時から皇后杯決勝、「当たって砕けろの精神」で挑む
12月19日に行われた皇后杯の準決勝で、ENEOSサンフワラーズはデンソーアイリスと対戦した。水曜日の準々決勝で絶対的エースの渡嘉敷来夢が右膝前十字靭帯断裂の重傷で戦線離脱となる大きなピンチを迎えた中でも、強豪のデンソー相手に持ち前の堅守速攻で第1クォーターから先行し、終わってみれば78-62で快勝した。
25得点11アシスト10リバウンドと圧巻のトリプルダブルを記録した宮崎早織とともに、勝利の原動力となったのが中田珠未だ。ユニバーシアード代表の主力として2017年の準優勝と19年の4位を経験し、A代表では2019年のアジアカップ優勝メンバーでもある中田は同世代でも屈指の代表経験を誇るが、ルーキーとなる今シーズンはここまで『女王』ENEOSの分厚い選手層の中で、出番は決して多くなかった。
それが今大会では、梅沢カディシャ樹奈に今回の渡嘉敷と、同じインサイドの選手が相次いで欠場したことで、皇后杯ベスト4といきなりの大舞台でENEOSで初の先発出場を果たす。しかも、マッチアップの相手は日本代表の中心を担う髙田真希である。多くのプレッシャーがかかる状況だったが、持ち前の機動力と跳躍力を武器に躍動し、フィールドゴール13本中9本成功で20得点の大活躍だった。
ベスト8終了後に明らかになった渡嘉敷の離脱は、中田にとっても大きな驚きだった「本当に考えられなかったです。雲の上にいるような存在で、ケガをしてしまうと思ったこともなかったです。いるのは当たり前の感じで、自分は渡嘉敷さんの後で、いつも2番手として出るぞという心意気だったので衝撃でした」
しかし「渡嘉敷選手がケガした時にテンパって自分らしいプレーができなかったです。頑張りましたが、役に立たなかったです」と反省しかなかった準々決勝の富士通レッドウェーブ戦の過ちを繰り返すことはなかった。
「髙田さんはベテランでシュート、ポストアップ、全部が本当に上手です」と最大限の敬意を払いつつ「今まで散々、渡嘉敷選手と練習で対戦してきたので『自分は守れる』と言い聞かせました」と、どこよりも厳しい普段の練習を信じて難敵相手にも臆せずに向かっていった。
主役級の活躍も本人は「少しは繋ぐことができた」
その結果、「ヘッドコーチから試合前に、30点取られてもいいからリバウンドを10本以上取って来いと言われました」という目標は3リバウンドで果たせなかったが、身体を張って味方にリバウンドを取らせるなどスタッツに出ない貢献は光った。ただ、特筆すべきは髙田を19点に抑え、自身はそれを上回る20得点をマークしたことだ。「私は速攻で走ったり、ドライブが得意ですが、相手もアジャストしてきます。最初から積極的にジャンプシュートを打つことは心がけていました」と振り返るように、持ち味のインサイドアタックに加え、効果的にミドルシュートを決めたのが大きかった。
「正直、渡嘉敷選手の穴は大きくて、いつもはベンチスタートだったのが先発だったのは荷が重かったです。リバウンドを10本取れなかったです。それでも、ボックスアウトもできましたし、少しは繋ぐことができたと思います」
本人はこのように自身のパフォーマンスを総括したが、この日の彼女が見せたのは、繋ぎ役ではなく主役のパフォーマンス。梅嵜英毅ヘッドコーチも「指示した以上のことをやってくれた」と手放しで称賛する出来だった。
本日、ENEOSは皇后杯8連覇をかけてトヨタ自動車アンテロープスと決勝で対戦する。ENEOSにとって決勝は慣れ親しんだ舞台だが、一方で今の陣容を見ると宮澤夕貴、岡本彩也花の2人以外はこれまで主力としての優勝経験がない。中田も「連覇はかかっていますが、自分たちは失うものがない。『当たって砕けろの精神』です」とチャレンジャー精神を強調する。
準々決勝、準決勝と主力離脱の穴を埋め、見事なステップアップを果たしているENEOSの若い選手たちが、決勝でも積極果敢なプレーを継続できるか。それこそが8連覇への大きな鍵となってくる。
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