ラスト3分に待っていた逆転劇
京都ハンナリーズvs信州ブレイブウォリアーズの一戦は、ラスト3分で12-0のランを作り出した京都が69-66と逆転勝利を収めた。
京都は終始追いかける展開が続いた。序盤、大黒柱のデイヴィッド・サイモンを軸に得点を重ね、松井啓十郎もタフな3ポイントシュートを決めたが、西山達哉に第1クォーターだけで4本の3ポイントシュートを含む14得点を奪われたことで後手を踏んだ。
その後第2クォーターではディフェンスの強度を上げ、西山を抑えることに成功するが、オフェンスではファンブルや、合わせのパスをカットされるなど、ターンオーバーがかさんで点数が伸びなかった。
4点ビハインドで迎えた後半も、このわずかな差が埋まらない。1ポゼッション差に迫っても、ゴールテンディングや簡単なパスミスから速攻を浴びるなど、勝負どころでミスが出てしまう。また、第3クォーターまでに9本のフリースローを獲得したが、3本しか成功できず追いつくチャンスを逸していた。
3点ビハインドで迎えた最終クォーターも2連続でターンオーバーから速攻を浴びる最悪なスタートとなってしまう。サイモンやベンジャミン・ローソンのポストプレーを中心に反撃するも、西山に2本連続で3ポイントシュートを許し、残り3分37秒でこの試合最大となる10点のビハインドを背負った。
終始2.3ポゼッション差で推移してきたが、この終盤についに2桁のリードを許し、集中力を切らしてもおかしくなかった。だが、京都はここから不屈の精神で猛反撃を開始する。レイヴォンテ・ライスが反撃ののろしを上げる3ポイントシュートを決めると、永吉佑也がゴール下で身体を張り、パスカットからジョシュ・ホーキンソンの個人4つ目のファウルを誘発。さらに永吉のオフェンスリバウンドから、松井がフリーになり、ここで3ポイントシュートを確実に沈め2点差に迫った。
松井「キャリアの中でも勝負どころで何回も決めています」
信州はここでタイムアウトを取り、落ち着いてセットプレーを遂行しようとしたが、これが裏目に出た。ハーフラインからのインバウンドパスを入れた直後、ウェイン・マーシャルがライスに死角からボールを奪われ、そのまま速攻を許し同点に追いつかれた。
こうなると勢いは完全に京都に。永吉がマーシャルのポストプレーを身体を張って防ぐと、サイモンがマクヘンリーとの1on1からレイアップを決めてついに逆転に成功。その後、逆転されそうな場面もあったが、ラストショットを打たせずにそのまま逃げ切った。
京都はマンツーマンとゾーンのチェンジングディフェンスや前線から当たってトラップを仕掛けるなど相手を困惑させてきたが、あと一歩のところで成果に繋がらなかった。それでも最後の3分37秒間をフィールドゴール成功ナシの1点に封じたように、最後にゾーンディフェンスを貫いたことで逆転勝利を引き寄せた。
京都の小川伸也ヘッドコーチは「信州さんは素晴らしいチームだと思っていますし、強いチームに対しても勝ちきっていて、粘り強いチームです。自分たちのプランは彼らの粘りに対して絶対に負けないで、粘り強く戦うというのがあったので、そこを遂行できたのは良かったと思います」と、文字通りの『粘り勝ち』を喜んだ。
日本人選手トップの11得点を挙げた松井は、最終クォーターに2点差に迫る3ポイントシュートを沈めたシーンをこのように振り返った。「佑也がオフェンスリバウンドをうまく取ってくれて、(石谷)聡にパスがいった時、聡がうまくタイミングをずらしてくれて、自分がフリーになりました。パスが来たら絶対に打たなければいけないという意識を持っていました。キャリアの中でも勝負どころで何回も決めていますし、いつも通り打てば入るだろうということで結果的に入りました。自分の中でも大きいシュートでした」
京都は前節の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で1点差、その前の滋賀レイクスターズ戦で3点差と、連続で接戦を落としていた。今回の勝利で勝負弱いイメージは払拭できたはずだ。
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