クレイ・トンプソン

「君はバスケットボールなしでは生きていけない」

ウォリアーズのクレイ・トンプソンは2018-19シーズンのNBAファイナル第6戦で左膝前十字靭帯を断裂し、約1年半をリハビリに費やした。復帰まで1カ月を切っていたが、再び悲劇が彼を襲った。トンプソンはピックアップゲーム中に右足アキレス腱断裂の重傷を負い、新シーズンの全休がほぼ決定的となった。

ウォリアーズのボブ・マイヤーズGMは、ケガをした直後のトンプソンに「バスケットボールは君にとって空気や水のようなものだ。バスケットボールなしでは生きていけない」と声をかけた。トンプソンは「これほど長期間バスケットボールをしなかったことはない」と話していたという。

大ケガをするまでのトンプソンはとにかくタフな選手として有名だった。8シーズンのキャリアで640試合中615試合に出場し、チーム内では「メンテナンスがいらない選手」と呼ばれていた。

多少のケガや病気では試合を休まなかったトンプソンだが、今回のケガは今後のキャリアに決定的な影響をもたらすだろう。アキレス腱を断裂して復帰した選手はコービー・ブライアント、デマーカス・カズンズ、ルディ・ゲイ、ウェスリー・マシューズなど多数いるが、復帰後にケガをする前ほどの活躍ができたのは、ホークスで長年プレーし殿堂入りしているドミニク・ウィルキンスくらいしかいない。

マイヤーズGMもトンプソンの復帰を望んではいるが、こうした事情も踏まえ、複雑な胸中を吐露した。「クレイには強い意志がある。ただ、彼にとってはタフな日だ。心が痛む。復帰できるはずだし、その道を進んでいる。ただ今は、ケガの知らせを聞き、タフな一日になってしまった」

「クレイはプレーを続ける。ただ、彼ほどのアスリートにこのようなことが起きてしまうのは耐え難い。彼を気にかけている我々にとっても本当に辛いことだ」

トンプソンが1年半前にケガをしてからウォリアーズはチームのアイデンティティが変わってしまったが、今回のケガでそれに拍車がかかるだろう。チームにはアンドリュー・ウィギンズやドラフト2位指名のジェームズ・ワイズマンが加わり、ケリー・ウーブレイJr.も獲得するなど補強に積極的だが、トンプソンの代わりはいない。ウォリアーズはトンプソンが再びオールスター級の選手に戻れるのかどうか、これから長い時間をかけて判断していくことになる。