ベラルーシを相手に歴史的勝利を挙げた女子バスケ日本代表、出場9選手の寸評

2016/08/07
日本代表
123

文=丸山素行 写真=Getty Images

総じて力を発揮、誰が欠けても今日の勝利はなかった

リオ五輪の初戦、女子バスケットボール日本代表はベラルーシを相手に堂々の戦いを演じ、接戦を制する形で初勝利を挙げた。この歴史的勝利となった一戦における各選手のパフォーマンスを『バスケット・カウント』編集部にて評価した。

吉田亜沙美
闘争心を燃やしながら気負いすぎることもない、最高のメンタルで試合に入り、終始ゲームをコントロールした。ファウルが先行するも、終盤の接戦の場面では4ファウルながらスティールを決め、ワンマン速攻を決めるなど勝利を引き寄せるプレーを連発。最後のファウルゲームで得たフリースローも確実に決めて、ベラルーシに付け入る隙を与えなかった。
ファウルがかさんだこと(特に4つ目のファウルは軽率)は反省点だが、ハーフコートオフェンスの起点となり、司令塔としての役割を完璧にこなした。8得点9リバウンド8アシストとトリプルダブル級の数字を残し、スティールも4を記録。吉田がこの出来をキープできれば、予選リーグ突破は十分に見えてくる。20得点の栗原をあえて外しても、この試合のMVPに推したい。

栗原三佳
6本の3ポイントシュートを沈め、両チームトップの20得点を挙げた。試合後の栗原は「リラックスして楽しむことができたので、力むことなくシュートが打てた」とコメントしている。高確率なだけではなく、クォーターの終わりやショットクロックが残り少ない状況でのタフショットを決めたことも大きい。離されなかったり、逆転時の大事な場面でよく決めた。これが1本外れていたら全く違う展開になっていたかもしれない。
守備でも体格で上回る相手に出足の鋭さで渡り合い、粘る時間帯にしっかり粘ってチームディフェンスを支えた。35分弱という長い出場時間で運動量も集中力も落としていない。本人も「全員がディフェンスを粘り、相手を嫌がらせることができた」と勝因を語っている。

間宮佑圭
質の高い動き出しでパスを引き出してのジャンプシュートで決めた先制点は、オリンピックという大舞台での『固さ』を仲間から取り除く意味で貴重だった。しかし、その後は相手センターとのマッチアップに苦しみ、ファウルがかさんだ。さらに相手のブロックショットの餌食となってオフェンスのリズムも悪くなった。
結局、プレータイムも14分半と少なく不完全燃焼の結果に。それでも、自分のマッチアップが不利と見るやスクリーンプレーやディフェンス面で我慢のプレーを展開。泥臭く戦うことで少なからず勝利に貢献した。

渡嘉敷来夢
オフェンスが停滞してる時のミドルシュートでチームを救い。チーム2位の16得点を記録。それよりも数字に表れない守備面での貢献が光った。苦戦する間宮をサポートし、屈強なベラルーシのセンター陣に対し身体を張ってよく守っていた。出場時間が最も長い36分4秒で、攻守ともに日本を支えるエースの存在感を見せた。

シュートタッチは必ずしも良くなかった渡嘉敷だが、守備で勝利に貢献。試合後には「オフェンスが悪くても、アグレッシブなディフェンスで相手のミスを誘うことができた」と語った。

本川紗奈生
6得点という数字は物足りないものの、どれも大事な場面で決めた効果的な得点。ドライブインで得点を取れる数少ないプレーヤーなので、もっとガンガン仕掛ける姿勢を見たいが、これを消極的と見るかバランスを取ったと見るかは難しいところ。吉田を良くサポートしつつ5アシストを記録したことは評価できる。

髙田真希
間宮が不調でも高田がいる。今の日本代表のストロングポイントが初戦から発揮された。フィールドゴール8本中5本の62.5%と高確率でミドルシュートを沈め、この決定力を見せ付けることで相手のディフェンスを広げ、オフェンスにリズムをもたらした。
守備に回っても渡嘉敷と同じく、身長が相手よりも低い中で我慢しながら良いディフェンスだった。7リバウンドは吉田に次ぐ数字。ただしスクリーンでのオフェンスファールが目立ったのは次戦までに修正すべき課題だ。

町田瑠唯
吉田がファウルトラブルに陥る中、堂々としたプレーでゲームを繋いだ。得点は挙げられなかったが効果的なパスを幾度となく供給し、短いプレータイムの中で6アシストを挙げている。セカンドユニットで突き放されなかったのがこの試合の大きなポイントでもあった。影のMVP。

近藤楓
出場時間は5分ほどだが、その限られた時間の中で5得点を挙げた。特に第2ピリオド、近藤がベンチから出て来たのはリードを詰められ、ポゼッションごとに逆転を重ねる際どい情勢。そんな難しい局面の中でもシュートを打ち切る積極性を発揮。それだけでも大した強心臓ぶりだが、しっかり沈めてみせた。内海知秀ヘッドコーチが近藤をチームに加えた決断は正しかったと、早くも証明された。

長岡萌映子
サイズでは劣るが足をしっかり使ってディフェンスし、なおかつファウルも1つに抑えた。我慢の時間帯でチームを支えるという任務をしっかりこなした。
脇役の仕事をこなしながらも、チャンスと見るやリングに向かう意欲も見せて5得点を挙げている。相手に寄せられながらも決めた右サイドからの3ポイントシュートは、均衡した展開から日本優勢へと流れを一気に引き寄せるビッグプレーだった。もっとも、その後にフリーで3ポイントシュートを打てるチャンスでパスを選択してオフェンスの流れを切ってしまったのは反省点。ただ、若い長岡にとってはこれも「伸びしろ」だ。

セカンドユニットの奮闘、さらにはタフなディフェンスを象徴するのが長岡だった。スタッツ以上の存在感で勝利に貢献した。

間宮だけはやや不完全燃焼であったが、総じて出場メンバー全員が力を発揮。特にベンチメンバーは自分の役割をしっかり果たし、素晴らしい出来だった。特にディフェンスが全員集中し、チームディフェンスとして機能していた。誰が欠けても今日の勝利はなかったと言ってもいい。「最高のゲーム」と言いたいところだが、まだ初戦。今後もっと良いAKATSUKI FIVEを見せてくれることを期待したい。