昭和学院女子バスケットボール部は、千葉県で圧倒的な強さを誇り、部員たちにも「県内では競らないのが私たちの当たり前」という考えが浸透している。10月に行われたウインターカップ予選の決勝では千葉英和を相手に95-65で快勝し、久しぶりの実戦でも昭和学院の強さを証明した。そんなチームを引っ張るキャプテンの三田七南と司令塔の中村帆香に、ウインターカップへの意気込みなどを語ってもらった。
「ここぞという時に頼りになる存在ですが、普段は言いません(笑)」
──まずは、自己紹介と昭和学院に入学した理由を教えてください。
三田 三田七南です。新潟柳都中学出身で、1年と2年の時にジュニアオールスターに出させてもらって、2年生の時はベスト8になりました。ポジションはフォワードで、得意なプレーはオフェンスリバウンドです。いくつか他の学校からも声を掛けてもらったんですが、鈴木(親光)先生の下でプレーしたいと思って昭和学院に決めました。
中村 中村帆香です。出身は大分県の明野中学です。中学の時はジュニアオールスターの副キャプテンをしていましたが、チームは上には行けませんでした。ポジションはポイントガードで、得意なプレーはアウトナンバーのパスを出すことや3ポイントシュートです。私も鈴木先生の存在が大きいです。あと、体験で来させてもらった時に、チームの雰囲気がすごく良かったので選びました。
三田 私は中学の時に右膝を骨折していたので、見学には来ましたが練習には参加できず、その時のフィーリングで昭和学院に決めました。3年間ここでやってきて、私の勘は当たっていたと思います(笑)。間違いなかったです。
──中村さんから見て、三田さんはどんなキャプテンですか?
中村 なんでも楽しく考えることができるポジティブな人間です。楽しむことが一番という感じで、周りが緊張してちょっと縮こまっていたりしても、「何やってんのー!」と言ってくれたりするムードメーカーです。プレー面では、サイズがあるけど外回りのプレーもできるので、自分たちが困った時にどこからでも点を取ってくれます。試合でも、ここぞという時に頼りになる存在ですが、調子に乗っちゃうので普段は言いません(笑)。
──「頼りになる存在」と言われましたが、三田さんはそこの自信はありますか?
三田 なくはない(笑)。自信はありますが、ハンドリングとか基礎の部分が他の人よりもできていないので。自分より上手い選手がいっぱいいることも分かっているけど、なんとなくできる自信はあります。
──では、三田さんから見た中村さんはどんな人ですか?
三田 人をイジるのが好きです、悪い意味ではないですよ。人とのかかわり方が面白くて、すごく人をイジるけどイジり返されるという(笑)。性格もすごく爆発的に面白いわけではないですけど、途中途中で挟む言葉が面白いです。バスケット面では一番冷静だと思います。あまり感情的にならないし、波がないです。練習の雰囲気が悪くなると、自分はとにかく声を出しちゃうから、自分でもよく分からなくなることがあるんですけど(笑)、中村さんは冷静に「今は何ができていないから、こうやらないとだよ」ということを言ってくれます。
──2人の話を聞いていると、すごく対極的な性格だなと感じます。
三田 自分は最終的なことをポンっと言うけど、中村さんはちゃんと段階づけて物事を言ってくれるので「これをするためには、これが必要だよ」って。フィーリング派と計画派ですかね。
「先生が教えてくれることをしっかりとやれば絶対に優勝できる」
──10月に行われた千葉県のウインターカップ予選は、昭和学院はすでに本大会の出場権を持っていたため優勝決定戦のみの出場でした。久しぶりの対外試合だったと思いますが、どうでしたか?
中村 2月以来の公式戦だったので不安でしたが、悪いイメージはなかったです。相手は私たちと違って何回も試合を重ねてからの決勝でしたが、負けそうだなという気持ちはなくて、絶対に勝つというイメージがありました。
三田 県では競らないのが私たちの当たり前です。先生からも「千葉県で競る= 負け」と言われています。今年は県外の学校と試合をしていないので分からないですが、全国で見ると桜花や岐阜女子がやっぱり強いじゃないですか。そういうチームに焦点を合わせて練習していますが、今は映像でしか他校の状況を見ることができないから難しさはあります。ただ、先生が教えてくれることをしっかりとやれば絶対に優勝できると思っているので、先生が言うことをちゃんとできるようにしたいです。
──先ほど鈴木コーチにインタビューをしたんですが、すごく穏やかな印象を受けました。普段のコーチはどんな方ですか?
三田 切り替えがすごくしっかりしています。練習中と練習後や学校とではスイッチが変わるのかなあ。先生からは「お前らは謙虚さがない!」と言われるんですが、先生はすごく謙虚です。練習中は自分たちが悪いプレーをしたら怒るので怖いですけど、普段は結構イジっています(笑)。
──では、今年の昭和学院はどんなチームですか?
中村 ありきたりですが、個性豊かでいろいろなキャラクターが揃っていて、めちゃくちゃ明るいです。プレースタイルとしては、全員が得点を取ります。スタートの5人はアウトサイドのプレーもできますし、いろいろなポジションをこなせる選手が多いです。
三田 今の課題はディフェンスです。先生もディフェンスを大事にしているので、これから強化して先生が求めるディフェンスに近づけていきたいです。今はハリーバックとディフェンスの切り替えが遅くてズレができてしまうことがあるので、そこをウインターカップまでにできるようにしていきたいです。
「まずは一戦一戦をしっかり戦うことが一番大事です」
──ウインターカップでの目標を教えてください。
三田 全国制覇!
──即答ですね! 対戦を楽しみにしているチームはありますか?
中村 どこのチームにも勝つのが目標ですけど、やっぱり桜花や岐阜女子をずっと見てきたから勝ちたいです。でも、今年はどうなるのか本当に分からないので、まずは一戦一戦をしっかり戦うことが一番大事です。
──では最後に、ウインターカップでの注目ポイントを教えてください。
中村 悔いが残らないように、この3年間で経験させてもらったことを出していきたいです。最終学年として、そしてポイントガードとしてチームを勝利に近づけるように頑張ります。
三田 まずは3年間で学んだプレーを思いっきり出すこと。私はオフェンスリバウンドが得意なので、そういうプレーを思いっきりやっていきたいです。チームとしても、思い切りの良さや勢いがある積極的なプレーを見てほしいです。あとは、ディフェンスから勢いをつけたオフェンスや全員が点を取れるところ。この人がめちゃくちゃ強い! というチームではないですけど、だからこそ全員バスケが一番強いというところを見せたいです。