千葉県の古豪、昭和学院女子バスケ部を率いる鈴木親光コーチ「大黒柱一本ではなく、柱をみんなで作っていく」

千葉県の古豪、昭和学院女子バスケ部を率いる鈴木親光コーチ「大黒柱一本ではなく、柱をみんなで作っていく」

2020/11/28 12:00
鈴木親光

昭和学院女子バスケットボール部は、今年でウインターカップ13年連続、43回目の出場を果たす千葉県の古豪だ。日本代表にも名を連ねている赤穂さくら、ひまわり姉妹を輩出するなど、高校女子バスケ界でも歴史ある強豪校の一つだが、鈴木親光コーチは「ウチは高校バスケ界でいうと中小企業」と表現する。昭和学院を率いて30年ほどになる鈴木コーチに、これまでの経歴や今年のチームの特徴を語ってもらった。

「いきなり伝統ある学校を見ることになり、毎日が大変でした」

──バスケット・カウントでは初めての取材になります。まず、鈴木コーチの経歴を教えてください。

千葉県出身で中学までは千葉にいました。高校は福井の北陸高校に行き、日本体育大学に入りました。日体大では2軍でしたが、卒業後は社会人の関東実業団チームに所属して、働きながらプレーしていました。社会人プレーヤーとして2シーズン活動した後に、指導者として昭和学院に来ました。

──大学卒業後も選手として活動していたとのことですが、いつ頃から指導者を目指すようになったのでしょうか?

中学生の時からずっと指導者になりたいと思っていたので、日体大に進学して教職を取りました。その後、昭和学院でチャンスをいただくことになりました。

──昭和学院は1979年に全国優勝を果たしていますが、鈴木コーチが来た時にはすでに強豪でしたか?

そうですね。私は「弱いチームを強くしていく」という理想を描いていたんですが、いきなり伝統ある学校を見ることになって、プレッシャーというか毎日が戦いというか、もう大変でしたね。それにしょっちゅう負けていたので、いろんな意味で世間では3年ぐらいで終わるんじゃないかと噂されていたんですよ。そう言われるのも悔しいので、自分なりに強化するべき部分などを考えて、とりあえず無我夢中でやってきました。 私が指揮を執るようになってからは全国優勝をしていなくて、全国2位が最高です。

大変なことも多かったですが、その中でも全国のいろいろな強豪校の先輩方に助けていただいて、相談に乗ってもらいました。桜花学園の井上眞一先生、そして足羽高校の林慎一郎先生は北陸高校と日体大の直々の先輩なので、何かつらいことがあれば助けてくれましたね。あとは聖カタリナ女子を指導していた一色建志先生だったり、いろいろな先輩方の背中を追いかけながら、あこがれを持ってやらせてもらっていました。先輩方に追いつけ追い越せじゃないですけど、必死に追いかけて来ました。

鈴木親光

「ウチは高校バスケ界の中小企業」

──昭和学院は千葉県の古豪チームで、県外から入学する生徒も多いと思います。

県外の生徒もいますが、全寮制ではないので通える子は通学してもらって、県外の子は寮に入ってもらっています。ウチは高校バスケ界でいうと中小企業と言いますか、一遍にたくさんの生徒に来てもらえるわけでもありません。生徒にはよく言っているのですが、3年生だから試合に出られるというわけではなく、努力して勝ち取った選手が試合に出ます。下級生でもチームを勢いづけてくれる選手はどんどん試合で使うようにしていますし、全学年の中で一番良い選手を選んで、その時の試合にベストな状態で戦っていけるチーム作りを心がけています。

──では、今年の昭和学院はどんなチームですか?

大黒柱はいないですが、下級生の頃から経験を積んでいる選手は多いので、その子たちが上手く機能できるようにしていきたいです。よく名前が挙がるのは三田(七南)や花島(百香)ですが、(赤穂)さくらや(赤穂)ひまわりに匹敵する大黒柱は今年のチームにはいないので、みんなで柱を作らないといけません。大黒柱一本ではなくて、みんなで何本かの柱を作って大きな柱にしていきたいなと思っています。以前は困ったら最終的にはさくらやひまわりを生かしたプランを立てていましたが、今は誰がというのはなくて、何人かの中でチョイスしてやっていく感じですね。ただ、とにかくディフェンスを頑張ろうというチーム作りはずっとやってきました。

サイズ的に飛び抜けて大きい子はいませんが、平均するとやや大きいのかなという感じです。コロナになる前は2年生の大きい子を生かしてセンターをしっかり使おうと思っていたんですが、自粛期間が明けて3年生の意識が変わりました。『最後だ』という意識を高めて頑張ってくれているので、フォワード系の選手が多いチーム作りになってきました。コロナの影響で練習ができなかった期間は、私はあまり口出しをしていなかったんです。生徒が自分たちで体力を落とさないように頑張ってトレーニングをしてくれていて、それをベースに今も一生懸命頑張ってくれています。

鈴木親光

「生徒が笑顔でコートに立てる時間を長くしてあげたい」

──高校の部活動である限り、バスケを教えるだけでなく人間教育も大切だと思います。どんなことを意識して取り組んでいますか?

当たり前のことを当たり前にできるようになってほしい、とは思っています。約30年間も教師をしているので、初めの頃は「先生たるもの怖くなくてはいけない」と考えていたこともありました。ただ、諸先輩方やいろいろな方を見て、オンオフと言いますか、怖い時もあれば優しくもあったりと、いろいろなものを使い分けることを勉強させていただきました。ただ、自分でもどれが良いのかは分からなくて、まだ手探り状態です。生徒たちは毎年学年が上がって、年齢も上がると考え方も変わったりします。なので、私も生徒たちに合わせて対応できればと考えています。

──それでは最後に、ウインターカップでの目標を教えてください。

私の目標は、生徒が笑顔でコートに立てる時間を長くしてあげたい、ということです。特に今年は周りの状況が分かりません。各地区の予選は配信されていてもそれがすべてではないですし、例年のように他校の試合を見ていないので手探りで大会に入らないといけないと思います。勝負事なのでやってみないとどっちに転ぶかは分からないですが、本当に子供たちが笑顔でコートに立っている姿を長い時間見ていたい、というのが自分の素直な気持ちです。

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