公立校の強豪、広島皆実で『育てて勝つ』村井幸太郎コーチ(後編)「広島の子でも日本のトップになれる」

公立校の強豪、広島皆実で『育てて勝つ』村井幸太郎コーチ(後編)「広島の子でも日本のトップになれる」

2020/11/25 17:30
村井幸太郎

広島皆実は今年も男女のバスケ部が揃ってウインターカップに出場する。男子は16回目、女子は22回目の出場とすでに全国大会の常連だが、公立校であるため留学生はもちろん特待生もいない。「広島皆実でやりたい」と入試をクリアして入学してくる地元の選手を育て上げ、全国で戦える女子チームを作る村井幸太郎コーチに話を聞いた。

選手が掲げる全国ベスト8「何とか導いてあげたい」

──今年の広島皆実はどんなチームですか?

全国レベルでは小さいですが、170cm弱の選手が揃っています。中学のオールスターで主力だった子が集まって、1年生の愛知インターハイの時から試合経験を積んできました。去年のスタートのうち3人が今の3年生です。特別に大きい選手はいませんが、とにかく運動量を増やすこと、外角のシュートの確率を上げることを大事にしていますし、頑張るだけでなくゲームの流れを読む駆け引きの部分は、経験がある分できていると思います。そういった部分が強みになってコート上で活躍してくれればと思います。

──毎年、チームとしての目標はどこに置いていますか?

ウインターカップが終わって年明け最初の練習までに、その年の2年生が集まって自分たちの代の目標設定をして、私に伝えてきます。私はそれをどう達成させてあげるか、現実的に考えていろんな練習や試合を組みます。今年の目標はベスト8。県内の選手だけで達成するのは結構大変なことです。ベスト8になるためには本大会で4試合やる。男子はそれでメインコートになるのですが、女子はもう一つ勝たないといけません。それでも選手はその目標を掲げていますし、私は何とかそこに導いてあげたいと思います。

──広島皆実は男子と女子がともにウインターカップに出場します。日頃から仲が良いのかライバルなのか、どんな関係ですか?

男子と女子はチーム作りが全然違いますが、選手はすごく仲が良いです。いろんなことを話しながら刺激を受けて、公式戦ではちゃんとお互いを応援してあげて、という良い関係ができています。また、男子を指導している藤井貴康はU16男子のアシスタントコーチで、私がU16女子のチームリーダーとして代表にかかわっていますので、そういったところでの情報交換はよくやっています。

──アンダーカテゴリーの日本代表にかかわることで、世界を意識するようなことはありますか?

U16ではヘッドコーチの萩原美樹子さんを始め、浜松開誠館の三島正敬くん、四日市メリノール学院の稲垣愛さんと素晴らしい指導者と一緒なので、毎回勉強になります。その影響は大きいし、学ぶ機会を校長先生が与えてくれていますので、その分をチームに還元したいという思いもあります。

広島の子でも成長していけば日本のトップの選手に近づける、世界で活躍できるようになる、というのが私自身にも見えるようになりました。高校生に何を教えるか、その子の個性をどう生かせば全国に通じるのかが私の中で明確になり、指導にも出せるようになったと思います。もっとも、それもウチの選手がチャンスをもらって頑張って、結果を出して評価されたおかげです。

村井幸太郎

「コートとベンチの選手が一体となったプレーを」

──今回は新型コロナウイルスのある状況でのチーム作りとなります。その難しさをどう感じていますか?

練習再開は国の指針通りの6月1日でしたが、それよりもまず柔道や剣道の子たちは全国選抜が3月で、6月の県総体で引退なんです。彼らをどう支えてあげられるかが一番の思いで、バスケはウインターカップがあったのでネガティブに考えても仕方ないと考えました。息子もたまたま日本にいて手伝ってくれるというので、ボールハンドリングなど自分が学んだスキルを教えてくれたおかげで、今までだったら時間がなくて教えられなかったこともできたし、1対1、2対2、組織的なディフェンスなど計画的に練習できました。練習試合が解禁になったら、ありがたいことに近県のいろんなチームが毎週のように来てくれて、自分たちの力量を確認しながらチーム作りができたと思います。

もっとも、今も難しい状況ですし、大会の時期に東京に非常事態宣言がでたらどうしようもないな、という思いもあります。ただ、選手たちのことを考えれば試合だけは何とかやらせてあげたいです。このウインターカップがなければ3年生にとっては何もなかった年になりますし、2年生1年生の進路を考えてもやらせてあげたい。なかなか難しい状況ではありますが、なんとか年末までこのまま行ってもらいたいです。

──村井コーチ自身はコロナの状況をどう乗り切りましたか?

バスケの指導が生き甲斐みたいなものですから、コロナで練習がなくなってしまった時にキャンプとか釣りとかいろいろやってみたんですけど、どれもすぐ飽きてしまって、「どんなチーム作りをしようか」なんてことばっかり考えていました。生徒がいて教えられる環境があるのが一番ですね。生きていて環境を与えてもらえる限りは指導を続けたいです。

──それでは最後に、ウインターカップで広島皆実のどんなところを見てもらいたいかを教えてください。

この3年生はバスケットで強くなるために、上手くなるために、純粋に自分のバスケに向き合ってきました。今年の新入生はコロナの状況で入ってきましたが、練習中でも練習後でも自然に3年生のところに行って教えてもらっている、そんな雰囲気があります。上級生が偉そうに押し付けるのではなく、一緒に広島皆実を作ろうと誠実にやってくれています。だから1年生もすごく力を発揮して、伸びている印象なんですね。そうやってコートとベンチの選手が一体となったプレーがウインターカップでも出せると思います。小さいチームなので横綱相撲はできず、いろんな仕掛けをする必要があるので、そういった工夫は是非見て楽しんでください。頑張るのは当たり前で、ディフェンスからオフェンスの切り替えの速さを見ていただきたいです。

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