リッキー・ルビオ

「こんな思いをしたくなければ、世界で一番になるしかない」

トレード解禁日にサンダーとサンズの間でクリス・ポールを中心とする大型トレードがまとまった。6人の選手と指名権が動いたこのトレードの一部としてサンダーに行くことになったリッキー・ルビオは、移籍が決まった直後に「なんてビジネスだ」というフレーズを、逆さの笑顔のアイコンとともにツィート。彼にとって今回の移籍が予期せぬ、そして不本意なものであったことを表明した。スペインの『MARCA』がルビオに取材し、その偽らざる心境を伝えている。

「驚きだった。僕はトレードされると思っていなかった。移籍の噂が出た時にサンズのフロントに電話で確認を取った。『君は交渉のテーブルに乗っていない』と言われたんだ。だけど僕は売られた」

「契約にサインした以上はその条件を受け入れたことになる。だけど、相応しい方法や手段というものがある。選手を管理する側は、僕たちが単なるプレーヤーであるだけじゃなく人間だということを理解してもらいたい。プロジェクトの一員として全身全霊で頑張ってきたのに、初日にトレードされるなんて受け入れがたいよ」

サンダーのフロントは、出て行く選手に対して礼を尽くすことで知られている。今回、クリス・ポールはトレードが決まった後にサンダーとファンに向けて、SNSで「初日から温かく迎え入れてくれた組織、ファンに感謝したい。僕の15年目のシーズンは決して忘れられないものになる」というメッセージを送っている。ルビオとサンズとの関係とは実に対照的だ。

クリス・ポールの意向がきっかけに今回のトレードが生まれたのだとしたら、ルビオは巻き込まれた形となる。これも一つのビジネスではあるが、フロントの不誠実な姿勢が彼を必要以上に傷つけたのも確かだ。

それでもルビオはグズグズ泣くようなタイプではない。今回のトレードで味わった屈辱を次のモチベーションに変えようとしている。『MARCA』での彼のインタビューはこんな言葉で締めくくられている。「物事が良くない時こそ自分の個性を強く出して、火に薪をくべるんだ。こんな思いをしたくなければ、世界で一番になって自分で決断できるようになるしかない」

クリス・ポールほどの実力とキャリアがあれば、トレードは巻き込まれるものではなく自ら作り出せるものになる。彼自身、スペイン代表として結果を出し、サンズでもデビン・ブッカーとのコンビで『バブル』での8勝0敗を成し遂げたプライドがあったのだろうが、それはサンズにリスペクトされることなく、いきなりトレードに出された。新シーズンの彼はクリス・ポールよりも優れたポイントガードであることをコート上で証明しようとするに違いない。