値千金の3ポイントシュートで川崎を撃破
11月15日、富山グラウジーズは川崎ブレイブサンダースとの第2戦に93-82で快勝した。富山は水曜ゲームのサンロッカーズ渋谷戦、川崎との初戦と連敗していただけに、この試合で負けていれば3連敗と悪いイメージのままブレークに突入するところだった。それだけに強豪の川崎が相手であることも含め、チームにとって大きな価値のある1勝だった。
そんな踏ん張りどころの一戦で勝利に大きく貢献したのが橋本晃佑だ。スタッツでいえば8得点、3リバウンドと際立ったものではない。しかし、前半で18点の大量リードを奪うも第3クォーターに追い上げを許し、1桁にまで点差を縮められそうな嫌な流れを立ち切れたのは、橋本の連続3ポイントシュート成功があったからだ。彼の活躍により、16点リードで第4クォーターを迎え、そのまま余裕を持って逃げ切ることができた。
試合の趨勢を決定づける大きな仕事を成し遂げた橋本は、勝因をこう語る。「昨日の試合は、ディフェンスの連携がうまく取れずピック&ロールから簡単に得点されてしまうことが多かったです。今日は、そこでコミュニケーションと連携を修正して入ろうとミーティングで話があり、それをうまく遂行できました。オフェンスでもうまくボールが回ることで止まる時間帯が少なく、昨日より良いバスケットボールができたと思います」
そして、値千金の3ポイントシュート連続成功を「ああいうプレーが自分の仕事だと思っています」と振り返る。「これまでの試合でも、ビッグラインナップの状況は結構ありました。ジュリアン(マブンガ)、宇都(直輝)さんがドライブに行き、ジョシュア(スミス)がゴール下にいるので相手もインサイドを固めてきます。そこでスペースができたところで気持ち良くシュートを打てたのは良かったです」
浜口ヘッドコーチ「今日のような活躍ができることは当然」
今オフ、橋本はプレー機会を求め、5シーズンに渡って在籍した愛着ある地元の宇都宮ブレックスを離れた。203cmの恵まれたサイズに加え、3ポイントシュートを持ち味とする彼は、スイッチによるミスマッチを作り出すことが主流である現代バスケットボールにおいて、日本人フォワードにマッチアップしつつ、外国人ビッグマンにも対応できるリーグ内でも稀有な存在だ。
新天地の富山ではまだそのポテンシャルを発揮し切れていない。富山の浜口炎ヘッドコーチも「彼をうまく使い切れていないのは僕の責任です。どうやったら彼を起用してよりチームを機能させられるのか、まだ試行錯誤しているところです」と明かす。ただ、同時に「プレータイムさえしっかり与えれば仕事をしてくれる。彼は素晴らしい選手で、今日のような活躍ができることは当然だと再確認しました」と、大きな信頼を寄せている。
これで富山は11勝4敗の東地区3位でブレークに入る。ここまでの戦いを橋本はこう分析する。「ようやくチームとして噛み合ってきました。バイウィークの間にもっと練習から積み上げて、より一つになれるようにしたいです。個人の役割も明確になってきていると思っているので、そこを突き詰めていくことで良いプレーができると思います」
12月の富山はリーグ上位との対戦が続く。もちろん目の前の試合に全力で取り組むことは前提だが、12月9日のアウェーでの宇都宮戦については「古巣で、東地区の首位なので、しっかり自分たちのバスケをして倒したい気持ちは強いです」と、特別な意識を持っている。
宇都宮といえば、ライアン・ロシター、ジョシュ・スコット、ジェフ・ギブズ、竹内公輔とリーグ随一のインサイド陣を有している。だからこそ、3番ポジションでプレーしつつ、スイッチして彼らに対抗できる橋本の存在はより大きなものになってくる。まだ、試行錯誤という橋本の起用法だが、それはそのまま富山の大きな伸びしろであるとも言える。その大きな可能性を見せる舞台が宇都宮との古巣対決になるのか、今から楽しみにしたい。