最大15点のビハインドを覆す逆転劇
サンロッカーズ渋谷vs京都ハンナリーズの第2戦。ゾーンディフェンスに苦戦し、最大で15点のビハインドを背負ったSR渋谷だったが、後半にディフェンスのギアを上げてリズムをつかむと、トランジションオフェンスが冴え、ゾーンも完全に攻略し90-78で逆転勝利を収めた。
SR渋谷は1点をリードして第2クォーターを迎えたが、京都のゾーンディフェンスに手を焼き、流れを一気に持っていかれる。デイヴィッド・サイモンがリムプロテクターとなり、インサイドを固められたことで、ペイント内での細かいパスが通らずターンオーバーに繋がってしまった。さらにゾーン攻略に必要なハイポストからのミドルシュートや3ポイントシュートが決まらずに、得点が止まった。
京都はトランジションから松井啓十郎とレイヴォンテ・ライスが3ポイントシュートを成功。さらにライスがサイモンとのツーメンゲームで得点を量産し、寺嶋良も速攻を成功させるなど、27-13とこのクォーターを圧倒した。
後半に入り、SR渋谷はディフェンスの強度を高めた。確実に効いていたが、ギリギリのところでパスを繋がれタフショットも決められるなど、なかなか点差が詰まらなかった。伊佐勉ヘッドコーチも「勝ち切れていない試合を経験していて、同じような匂いがしていた」とその時間帯を振り返った。それでも「もやもやしている時間帯はしっかり我慢できた」と語ったように、徐々にハイプレッシャーが効果を発揮していく。
伊佐ヘッドコーチ「良い経験ができた週末になった」
ディフェンスが機能し、タフショットを打たせ続けたことでSR渋谷はトランジションオフェンスを連発。さらにリズムをつかんだことで3ポイントシュートも面白いように決まり、ライアン・ケリー、石井講祐、ベンドラメ礼生の3連続3ポイントシュートで点差を詰めると、ジェームズ・マイケル・マカドゥのプットバックダンクで同点に追いつき、さらにマカドゥの速攻で締めて逆転して最終クォーターを迎えた。
「3クォーターで6点差まで詰めれば、4クォーターでどうにかなる」という、伊佐ヘッドコーチの思惑を上回り逆転に成功したSR渋谷はその後も攻守で京都を圧倒。特にマカドゥはチャールズ・ジャクソンのロブパスから連続でアリウープを叩きこむなど、フィールドゴール10本すべてを成功させる22得点の活躍でゾーンを無効化した。
最終クォーター残り7分にライスが個人4つ目のファウルを犯すと、サイモンも残り6分を切った場面で個人4つ目、さらにチームファウルも5に到達と、ファウルトラブルに陥った京都。残り4分、インサイドが弱体化した京都を尻目に、マカドゥがアリウープを決めて85-69とし、勝負を決めた。
京都の小川伸也ヘッドコーチは「第3クォーターに尽きます。相手のプレッシャーに対してうまくエントリーができずに難しいショットを打たされ、走られてイージースコアを獲られました。後半は必ず激しいディフェンスで来ることを予測していた中でうまく入れなかったのはすごく残念です」と、後半の失速を悔やんだ。
SR渋谷の伊佐ヘッドコーチは「ディフェンスのギアが上がった瞬間から、僕が思い描いているように走り出せて、そこから3ポイントシュートも決まり一気に行けた」と語った。
強豪との対戦で接戦を落とすことが多く、黒星が先行していたSR渋谷だが、今日の勝利で6勝6敗と勝率を5割に戻した。伊佐ヘッドコーチが「全員がディフェンスからという意識を持てた。良い経験ができた週末になったと思う」と総括したように、SR渋谷にとっては上位進出へのきっかけをつかむ最高の週末になったに違いない。