ドナルド・トランプ

愛国心を強調するために、多方面を『口撃』

アメリカ大統領選は11月3日が投票日。その前日、ドナルド・トランプはペンシルバニア州での選挙集会でレブロン・ジェームズを過激な言葉で罵った。「バスケットボールはどうだ? レブロンはどうだ?」とトランプが煽ると、会場に集まったトランプ支持者たちは、レブロンに対するブーイングで応えた。

「私はひどいものだと感じたね。71%ダウンだ。私はシュート1本たりとも見なかった。つまらないからだ。戻って、前に出て、戻って、前に出て。なぜつまらないか分かるだろうか。愛国心がないからだ。国をリスペクトせず、国旗をリスペクトしない。そんなものは誰も見たくない」

もともとNBAとトランプは『敵対関係』にある。白人至上主義的な言動を続けるトランプはNBAには受け入れがたい存在だ。これまで優勝チームはホワイトハウスに招待されて大統領と歓談していたが、トランプが大統領になった際にウォリアーズがこの慣例を断ち切った。前大統領のバラク・オバマがバスケ好きを公言し、しばしばアリーナに足を運んでいたのとは大違いだ。

71%という数字は視聴者数のダウンを示していると思われるが、正確なものではない。愛国心を煽ることで自らの支持を集めようとしているのだろうが、レブロン・ジェームズは常にコミュニティを大事にし、故郷に学校を作るなど社会貢献にも熱心で、愛国心の欠如を責めるのは言いがかりでしかない。

もっとも、トランプの批判は無差別かつ全方位的なものだ。国歌斉唱の際に抗議の意味で選手たちが膝をつくNFLに対して「視聴率は下がりっぱなしだ」とトランプは言う。「我々の国旗に向かって立つべきだ。そうしない者たちを我々は見ようとしない」

トランプの批判の矛先はビヨンセやレディー・ガガにも向いた。対立候補のジョー・バイデンの応援集会でスピーチしたガガに対して「愛国心がない」と批判。ガガは黙っておらず、「あなたたちの頭の中にタダで住めるなんてハッピーよ」と皮肉交じりのツィートを投稿している。

前回の大統領選ではトランプの対抗馬だったヒラリー・クリントンの応援演説を買って出たレブロンは、今回は沈黙を守っている。