セブンティシクサーズ

球団オーナー「シクサーズの新しい夜明けだ」

ダリル・モーリーがセブンティシクサーズのバスケットボール運営部門代表としての活動を開始した。2006年から務めたロケッツGMの職を辞した後、彼は休むことなく次の任務に取り掛かった。

彼自身は何年か現場を離れてゆっくりするつもりだったと言う。「もともとその計画で、妻からもそうしてほしいと言われていた。でも私がフリーになった途端に、ここにいるみんなが容赦なく勧誘してきた。いろんな話をして、ここにいる選手たちについて掘り下げれば掘り下げるほど、このチームで仕事がしたくなった。興奮を抑えられなくなったんだ」

オンラインで行われた会見に同席したのは球団オーナーのジョシュ・ハリス、以前からGMを務めるエルトン・ブランド、新ヘッドコーチのドック・リバース。新体制の人事について一番興奮しているのはハリスだ。「ダリルやドックのような有能な人物と一緒に仕事がしたいとずっと思っていたが、別のチームとの契約下にあっては話をすることもままならない。だから彼らが揃ってフリーになった途端に私は飛びついた。このチャンスを逃してなるものかと必死だったよ」

シクサーズの新たな編成はブランドGMとモーリーの2人が司ることになる。ブランドGMはモーリーのアシスタント的な役割に仕事を限定されることになりそうだが、「私の目標はシクサーズのNBA優勝であり、その過程を楽しむこと。それが何であれ、私はその役割を受け入れる。何より、この体制になってゴールに近づいたと思うから楽しみだよ」と語る。

シクサーズの新体制はどのようなチームを作り、どんなバスケを展開するのだろうか。このチームはベン・シモンズとジョエル・エンビードというスター選手を擁しながら勝てず、このデュオを軸にチームを作るか、どちらかをトレードに出して新たな方向へと舵を切るかの選択が注目されている。

この点において、モーリーに解体からの再出発をするつもりはない。「圧倒的な支配力を持つビッグマンと一緒に仕事ができることに興奮しているよ」とモーリーは語る。「私はヒューストンでヤオ・ミンを軸にしたチームを作った。今度はジョエルと一緒だ。率直に言えばシクサーズはジョエルとベンが主役のチームだ。しかし、アル・ホーフォードとジョシュ・リチャードソン、トバイアス・ハリスに昨年加入した若手たちもいる。素晴らしいロスターを擁している」

エンビードはリーグ屈指のビッグマンであり、シモンズは3ポイントシュート以外は何でもできるオールラウンダー。どちらもロケッツがやっていたスモールボールには明らかに向かない。モーリーもロケッツのスタイルをここで踏襲するつもりはない。「どうプレーするかはドック次第だ」と、こちらは新ヘッドコーチのドック・リバースに託している。「だけど、NBAで勝つための最善の方法は、自分たちの選手の才能を最大限に活用することだ。特定のシステムにはめ込んで才能を奪うことじゃない」

今シーズンのシクサーズはプレーオフ1回戦でセルティックス相手にスウィープを喰らって敗退。シモンズがひざの故障でプレーオフを目前にして戦線離脱したのは痛かったが、それと同じぐらい戦術対応力のなさが目立つ戦いぶりでもあった。孤軍奮闘したエンビードはシーズンの最後に「このオフはすべての面で成長して、チームが望む自分になりたい」と語った。

彼がその言葉を実践していることをモーリーは明かす。「ジョエルは毎日2回の練習メニューをこなしている。モチベーションは非常に高く、集中しているよ。NBAの歴史を振り返ってみても、彼のような選手がこのリーグのチャンピオンになる。ヒューストンでは才能ある選手を軸にチームを作ったが、ここではドックが今いるタレントを最大限に活用してくれるよ」

エンビードは屈辱的なスウィープ負けの直後も「ケガ人が多く出る不運に見舞われた」と決して下を向かなかった。ただ、それと同時にここ数年で失敗続きだった補強を考えれば、「シクサーズで勝てるのか」という疑念が頭になかったはずはない。今のエンビードがモチベーションに満ちているのは、ドック・リバースとダリル・モーリーが加わったことで体制が強化されたからだろう。

球団オーナーのハリスは言う。「これはシクサーズの新しい夜明けだよ。これが長く長く続くことを願っている。上手くいけばコート上で成功を収められるだろう。そうなると信じている」