層の厚い川崎ブレイブサンダースでブレイクスルーを誓う青木保憲「なんだかんだ言っても試合に出てナンボです」

層の厚い川崎ブレイブサンダースでブレイクスルーを誓う青木保憲「なんだかんだ言っても試合に出てナンボです」

2020/10/31
青木保憲

13得点の大活躍にも「これをスタンダードに」

川崎ブレイブサンダースの青木保憲は、10月28日に行われた新潟アルビレックスBB戦で大活躍を見せた。第2クォーター途中からコートに立つと、ドライブからのレイアップやフリースロー獲得とこのクォーターだけで8得点を記録。第1クォーターでの2点リードを11点にまで広げる立役者となった。その後、第4クォーターには3ポイントシュートも沈め、試合全体では14分出場で13得点2アシストを記録した。

ヒーローインタビューに呼ばれる会心のパフォーマンスだったが、試合後の会見における彼の表情に満足感はなかった。川崎は前節の信州ブレイブウォリアーズ戦の初戦に敗れており、それを踏まえて「信州戦の1戦目はどこかボールへの執着心、ハッスルするところで欠けていました。相手の成績にかかわらず自分たちのやるべきことをチーム全体でやり続けることができたのは良い点だったと思います」と振り返った後、自身のプレーを冷静に総括する。

「特に今日はニック(ファジーカス)とのピック&ロールのところで第1クォーターからズレができていたので、そういった戦術の部分でも余裕を持ってプレーできたところはありました。結果を出せてうれしいという感情はなく、これをスタンダードにしていかないといけない。どちらかというと気を引き締めなければいけない思いです」

特別指定を含めると青木にとって川崎在籍4年目の今シーズンは、前半からの起用などこれまでに比べて出番は確実に増えている。佐藤賢次ヘッドコーチも「昨シーズンまではどちらかというとベンチからエナジーをもたらして勢いを与えてくれるのが役割でした。今シーズンはより試合をコントロールする部分で成長を見せてくれています」と評価している。

たとえ大きな上げ幅ではなくても、今の青木は確実に成長している。ただ、彼自身にそういった思いは全くない。「ここまでの練習での手応えを考えると、試合でのプレーには納得できていないです。短いプレータイムの中でも、もっとやるべきことができていれば出場機会が増えていた。そういう部分で、自分に対して満足できるところはないです」

また、このような思いを抱いているからこそ、ようやく結果を残せてホッとしたという気持ちもない。「安堵感はないです。冷静に正しい判断をして、正しいプレーをすればこういう結果になる。その手応えは練習でずっとつかめていました」と淡々と語り、むしろ練習でできたことを発揮するのに時間がかかったと、苛立ちの方が大きい風にすら感じる。

青木保憲

「リーダーシップを発揮しないといけない」

この日の青木の発言からは、これまでとは明らかに違う決意が溢れ出ていた。同じポイントガードの篠山竜青と藤井祐眞の後についていければ、というスタンスはない。「昨シーズンまではどちらかというと、竜青さん、祐眞さんの繋ぎで2人を少しでも休ませるのが役割というマインドでした。ただ、今シーズンはそうではなく、しっかりローテーションに入って3人でタイムシェアしていきたいイメージです。だからそもそも試合に対するターゲットが昨シーズンとは全く違っています」

繋ぎ役に甘んじるのではなく、ローテーションの一員に。この心境の変化は、次のような理由からだ。「一つは昨シーズン、ある程度の手応えを自分の中でつかめたことがあります。今シーズンは副キャプテンに任命され、リーダーシップを発揮しないといけないです。そして、なんだかんだ言っても試合に出てナンボです。明確に何分出たいという思いはあまりないですが、そこは昨シーズンとは違います」

日本代表のキャプテンである篠山、昨シーズンのベスト5とシックスマン賞を受賞した藤井がいる川崎のポイントガード陣で、安定したプレータイムをつかむ。この高い目標があるからこそ、青木は1試合で結果を残せたからと喜ぶ気持ちにはならない。

「ディフェンスの激しい強豪とやった時、今日のようなプレーができるかはまだ証明できていないです」と語る彼にとって、ショートブレイク明けの琉球ゴールデンキングス戦、千葉ジェッツ戦は自身の存在をアピールする絶好のチャンスだ。

「琉球、千葉とガードがプレッシャーをかけてくるインテンシティの高いチームで、対戦するのが楽しみです。どれだけ自分がプレッシャーの中で冷静に正しい判断をしてクリエイトできるのか。それを証明するチャンスなのでしっかり準備をしていきたい」

川崎のようにメンバーが変わらないのは、選手たちの連携を深める部分では大きなアドバンテージとなる。ただ、メンバーが同じであることで序列が固まり、マンネリが生まれやすい側面もある。そんなチームに緊張感をもたらすために最も効果的なのは、下からの突き上げだ。青木の野心は本人の成長だけでなく、チームの活性化にもきっと寄与する。ベンチウォーマーからの脱却を誓う彼の挑戦は、川崎のレベルアップの大きな助けになるはずだ。

RECOMMEND