篠山竜青

文=鈴木栄一 写真=鈴木栄一、野口岳彦

千葉へのリベンジの機会、開幕戦でさっそく到来

3年目のBリーグ、B1は千葉ジェッツvs川崎ブレイブサンダースの優勝候補対決を他のカードより一足早い10月4日に実施して開幕する。場所はリーグNo.1の観客動員を誇る千葉の本拠地、船橋アリーナ。川崎にとっては図らずも昨シーズンのチャンピオンシップ・クォーターファイナルで散った時と同じ状況となった。

それでも敵地に乗り込む川崎のキャプテン、篠山竜青は「昨シーズンのチャンピオンシップの試合は、川崎からも多くのファンが来て声援をくださいました。あらためてブレイブサンダースファミリーの一体感が生まれたきっかけとなったゲームでした。それを含めてまずは昨シーズンの借りを返す意味でも、勝って勢いつけたい」と語る。因縁の難敵相手のアウェーゲームは楽ではないが、だからこそ勝つことで大きな弾みをつけられる舞台ととらえている。

川崎は7月1日から運営会社が東芝グループからDeNAグループへと変更になった。チーム名、チームカラーなど、どんな変化があるのか注目を集めた部分ではあったが、東芝時代の継承という形を選択した。また、東芝もこれで川崎との縁が完全に切れたわけではない。だからこそ、篠山は次のように新旧オーナー会社への感謝を述べる。

「チーム名、イメージカラーは同じですし、練習場所など現場の環境は一切変わっていない。オーナーが変わったことの変化は今のところ感じていないです。そこがDeNAさんの愛を感じます。そして、東芝さんは変わらずに練習場、クラブハウスを貸し出してくれています。これまでと別の形でクラブを支えてくれている東芝さんにも感謝したいです」

篠山竜青

優勝候補最右翼「プレッシャーも感じています」

3年目のシーズン、リーグは外国籍選手に関して大きなルール変更を実施。試合にエントリーできる外国籍は2名、帰化選手は1名となる。そして外国籍のオン・ザ・コートはすべてのクォーターで2名以内、帰化選手は外国籍選手2名と同時にプレーすることができる。

川崎にとってこのルール変更は、ニック・ファジーカスが帰化選手となったアドバンテージをさらに強化できるもの。ルール上では、ファジーカスと外国籍2名が40分フル出場可能となり、他チームにとっては大きな脅威でしかない。そして地区変更により、強豪揃いの東地区から中地区へと移動している。

「ウチにとってニックの帰化でルール変更がより有利になり、その分、優勝候補としてのプレッシャーも少しは感じています。そこはしっかりと向き合って力を示して行かなければいけないという気持ちです」

今オフのレギュレーション変更は川崎にとって有利だと篠山も考えている。ただ、一方で「とは言うものの、ニック以外の外国籍選手も決まっていないですし、まだまだどういうシーズンになるのか見えていない。ルール、地区編成のところは昨シーズンより楽になると思いますが、メンバーが確定するまでは分からない」と油断はない。

この慢心なき姿勢は、日本代表としての地位を確固たるものとした印象がある篠山個人の状況についても同じだ。「代表でベンチから出て行って、ディフェンス、コントロールの部分でリズムを変える役割は少しずつ形になってきていると思います。でも、若くて能力の高いガードはBリーグの中にはたくさんいるので、東京五輪までは全チームのガードがライバルです」
篠山竜青

「代表に選ばれるとはこういうことか、と示す」

日本代表とBリーグは密接な関係がある。日本代表で実績は積んでいるとしても、Bリーグで自分が代表にふさわしいと周囲を納得させるプレー、さらに進化した姿を見せなければいけないと、むしろ危機感を口にする。

「対戦した選手に、代表に選ばれるとはこういうことか、というのを示していく必要があると、モチベーションは高まっています。年齢も高くなっており、進化し続けていかないと、どんどん若手に追い抜かれて行くと感じています。ターンオーバーも減らさないとベテランのガードとして存在意義がない。細かい部分のミスは許されないし、そう見られているという気持ちはあらためて強くなっています。もっと緊張感を持って臨んでいかないといけないです」

その上で「数字の部分をもっと意識していきたいです」とし、具体的には1試合平均の得点とアシストで昨シーズンは12.2(8.5得点、3.7アシスト)だった合計値を、今シーズンは15に伸ばしたいと意気込む。

右肩上がりのBリーグであるが、まだまだメジャースポーツの地位とは離れた場所にいるのが現状だ。さらなる露出増からの人気拡大は急務であり、だからこそ代表メンバーとしてプレー面で魅力するだけでなく、抜群のメディア対応、ファンサービスでも支持を集める篠山には、オンコート、オフコートの両方でリーグを牽引してほしい。7月20日には30歳を迎えるが、さらなる進化へまだまだ貪欲な彼が、どんな成長を遂げていくのかが楽しみだ。

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