高橋耕陽

勝負どころで大活躍の高橋耕陽「強気で行きました」

シーホース三河が富山グラウジーズを迎えたホームゲーム。初戦は終盤にジュリアン・マブンガを抑えられずに競り負けた三河だが、今日の第2戦は逆の展開へと持ち込み、なおかつ第4クォーターを32-12と圧倒する『倍返し』で前日のリベンジを果たした。

それでも、苦戦を強いられたのは間違いない。得点源のダバンテ・ガードナーが第3クォーターに3つのファウルを犯し、特に第3クォーター終了間際にはマブンガとリチャード・ソロモンの2人にダブルチームを仕掛けられ、振りほどこうとする腕がマブンガの顔に入ってしまいアンスポーツマンライクファウルを宣告される。これで個人ファウル4つで、第4クォーターには使いづらい状況になってしまった。さらに第4クォーター開始直後には金丸晃輔が足首を痛め、チームメートの肩を借りてコートを出ることに。チームトップの21得点を奪っていたガードナー、それに続く19得点の金丸と、得点源の2人を欠くことになった。

しかし、この状況で残された選手たちが奮起する。シェーン・ウィティングトンとシェーファー・アヴィ幸樹がインサイドを締めるとともに、自由に動くマブンガから目を離さず簡単にチャンスを作らせない。勢いに乗せると怖い岡田侑大がスピードを上げると柏木真介がすかさずファウルで止めて、リズムに乗せなかった。

こうしてディフェンスを引き締めた三河は、オフェンスでも勢いに乗る。ガードナーと金丸の不在は、逆に富山のディフェンスを迷わせた。柏木とカイル・コリンズワースの2ガードでゲームをコントロールしつつ、チャンスと見れば柏木が3ポイントシュートを決め、金丸に代わって入った高橋耕陽が思い切ったドライブでゴール下をこじ開ける。富山は激しさを前面に押し出すリチャード・ソロモンがファウルトラブルで思うようにプレーできなくなったが、同じくファウルが4つになった柏木は「退場してもいいと思っていました。熊谷(航)も長野(誠史)もいるので」と割り切り、強度の高いプレーを継続した。

残り4分を切って、オフェンスリバウンドを抑えたウィティングトンを止めに行ったソロモンがファウルアウトに。ウィティングトンは落ち着いてフリースローを2本沈めて86-74とした時点で試合の趨勢はほぼ見えたが、その後も三河は攻守ともに強度を落とすことなくリードを広げ、最終スコア99-77で勝利している。金丸が下がった後に9得点を挙げ、勝利の立役者となった高橋は「流れを変えるために出たので、強気で行きました」と語った。

宇都直輝

競り負けた富山だが「選手の頑張りによって踏ん張っている」

鈴木貴美一ヘッドコーチは「昨日は終盤で我慢ができず、ファウルしたりターンオーバーをしてしまいましたが、今日は自分たちのリズムが来るまで我慢してディフェンスをしてトランジションに持っていけた」と、勝負どころでの『我慢』を勝因に挙げた。第4クォーターが始まる前には、強い口調でディフェンスの課題を指摘していたそうだ。それが終盤の強さを引き出したと言える。

合流が遅れたコリンズワースとウィティングトンもチームにフィットしつつあり、新加入の高橋やシェーファーも持ち味を発揮している。「この4、5年とは全然違う、我々のやりたいバスケにマッチしてきた」と鈴木ヘッドコーチはチームへの手応えを語る。

富山の浜口炎ヘッドコーチは「勝負どころで要の選手が2人いなくなったから勝てるほど簡単なゲームではなくて、逆にそれで三河さんのゲームになったかもしれない。リバウンドとターンオーバーの部分をもう少ししっかりプレーできれば良かった」と難しいゲームを振り返る。

しかし、ジョシュア・スミスがまだ使えない状況で三河を相手に1勝1敗、ここまで7勝2敗と新体制で好スタートを切っているのも確かだ。浜口ヘッドコーチは続ける。「選手がハードワークして、人数が少ないながら一生懸命にチームになろうとしているのが勝ちを拾っている要因です。選手の頑張りによってここまでは踏ん張っているので、ゲームをしながら集中して少しずつ良くなっていきたいです」