ブラッドリー・ビール

リーグ屈指のスコアラーへと成長したビール

ウォリアーズは今年のオフシーズンで最も注目されているチームの1つだ。ドラフトでは全体2位の指名権を保有しているほか、来シーズンオフにフリーエージェントとなるバックスのヤニス・アデトクンボの獲得にも積極的だと言われている。

今オフは大物フリーエージェントがいないため、スーパースターを補強する手段はトレードしかない。ゼネラルマネージャーのボブ・マイヤーズはステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンに加えるラストピースを探しているが、最近候補として名前が挙がっているのがウィザーズのブラッドリー・ビールだ。

ビールはリーグ屈指のスコアラーに成長し、今シーズンは平均30.5得点、6.1アシスト、3ポイントシュート成功率35.5%を記録。相棒ジョン・ウォールがアキレス腱のケガで全休する中奮闘した。来シーズンの年俸は2875万ドル(約30億円)で、昨年10月に2年7200万ドル(約76億円)で契約延長にサインしたばかりだ。

ESPNのポッドキャスト番組『NBA Insiders』によると、ビールを獲得するためには彼の市場価値に見合うだけのアセットを保有している必要がある。従って獲得できる可能性のあるチームは限られているがウォリアーズはその数少ないチームの1つだ。

ビールとのトレードでウォリアーズの交換要員になりそうなのは、サラリーがほぼ同等のアンドリュー・ウィギンズだ。今年のドラフトの全体2位指名権、ティンバーウルブズから獲得した来年の1巡目と2巡目の指名権も含まれる。ビールの移籍が実現するには本人が球団にトレードを申し出ることが必須条件となる。ウィザーズにとってはビールにその意志があるなら早い時期に申し出てくれたほうが都合が良い。ウォリアーズが指名した全体2位選手を獲得するより、チームに必要な人材を自分たちで選ぶほうが良いからだ。

ウィザーズはビールとケガ明けのウォールがどんなプレーをするのか確認したいと思っている。ただ、2人のコンディションが良好でも優勝候補であるとは言えず、球団はロスターを入れ替えチームの若返りを図る可能性もある。

また、ウォリアーズにとってもビールの補強がベストな判断であるかは疑問が残る。彼はオフェンスはリーグでエリートレベルにあるがディフェンスは得意としていない。ビールのディフェンスレーティングは117.6とチーム2番目に悪く、彼がベンチにいる時は失点が100ポゼッションあたり平均10.7点少ない。ディフェンスを重視するならウィギンズを残すほうがベターだろう。

今シーズンは失望しかなかったウォリアーズだが、来シーズンは期待が大きい。スプラッシュブラザーズの復帰に加え、マーキーズ・クリスやエリック・パスクホールなど若手の成長も著しい。ドラフト2位指名権で有望な若手を指名してもよいし、アセットとしても利用できる。ウォリアーズが今オフでどんな補強に出るのか楽しみだ。