ケビン・デュラント

写真=Getty Images

もはや破綻した『戦力均衡』にNBAはどう向き合うか?

2016年の夏にフリーエージェントになったケビン・デュラントがウォリアーズ移籍を決断して以降、NBAは新たな時代を迎えた。ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンという3人のオールスターを擁したウォリアーズにデュラントが加わったことで、NBAは『ビッグスリー時代』から『スーパーチーム時代』へと転換したのだ。

ウォリアーズはそれから2連覇を達成。このオフにもデマーカス・カズンズという5人目のオールスターを加え、早くも「3連覇は決まり」との声も挙がる。

デュラントの決断がNBAを歪ませたというアンチファンの意見もあるが、『Rappler Sports』の取材を受けたデュラントは「選手がキャリアについて決められる力を持てるのは素晴らしいこと」と持論を語った。

「勝利を優先するのは、バスケットボールにおいて常に大事なこと。だからこそプレーするのであって、誰もが勝ちたがっている。そしてコート上で楽しみたがっている。僕はリーグの現状に満足しているよ」

デュラントは満足しているにせよ、戦力均衡という観点で考えれば、今の状態は理想的ではない。スター選手が一つのチームに集まることで優勝できるチームは限られてしまうし、スター選手同士の対戦が減り、ファンの欲求と逆行する。しかし、年俸を削ってでも2チームへの移籍を希望する腕利きフリーエージェントの数は今後むしろ増えるだろう。

一つ確かなのは、デュラントの意見は正論であり、どのチームもルールの範囲内でロスターを編成していることだ。それでも数十年前までは、スター選手は各々のフランチャイズを自分の力で優勝に導くことを生き甲斐とし、ライバルたちとしのぎを削り合った。その時代を懐かしむファンがいるのは当然だし、スター選手たちが勝利を優先して共闘する時代を嘆くのもまた道理である。

『スーパーチーム時代』がいつまで続くかは見当もつかないが、競争力を高めるため、リーグが何らかの施策を実施すべきという意見も少なくない。『スーパーチーム時代』との向き合い方を見いだすことは、世界最高峰のリーグであるNBAにとっての課題なのかもしれない。