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借り物アリーナは球団経営にとってマイナス

NBAは全30チームで構成されているが、ホームアリーナ数は29と1つ足りない。これは、ロサンゼルスを本拠地に持つレイカーズとクリッパーズが、同じアリーナ(ステイプルズ・センター)を共同使用しているから。

設立時期や過去の成績(レイカーズは優勝16回、クリッパーズは優勝0回)により、『ロサンゼルスと言えばレイカーズ』という印象が強い時代が長らく続いたものの、近年はクリッパーズの方が好成績を収め、プレーオフにも2012年から4年連続で進出している。レイカーズはコービー・ブライアントの引退により一つの時代に終止符を打ち、ようやく再建プランを実行に移す段階を迎えており、最近では2チームの序列が逆転した、という意見もある。

そんな最中、クリッパーズが自前のアリーナ建設に向け、候補地を選定していると『ESPN』が伝えた。『ESPN』によれば、クリッパーズが自前アリーナ建設を検討している理由には、ステイプルズ・センターの所有者であるアンシュッツ・エンターテイメント・グループが、ネーミングライツ、イベントなどを開催する際の施設運営権、その他収入の権限を保持しているからだという。

NHLのキングスも同アリーナをホームとして共同使用しているが、関係者の話では、クリッパーズがシートの売上などから分配されている金額は、レイカーズ、キングスよりも低く抑えられているとのこと。

今後、独自のアリーナイベントを企画してスポンサーやファンの満足度を高め、収益を伸ばしていくためには、制約だらけのステイプルズ・センターが足かせとなる。ましてやクリッパーズのオーナー、スティーブ・バルマーは、元マイクロソフトのCEOを務めた人物だ。球団にとって不利益となる部分の改善は当然と考えているだろう。

『ESPN』が新アリーナ建設計画の真偽をクリッパーズに問い合わせたところ、チームは肯定も否定もしなかった。ロサンゼルスのウェストサイドが有力な候補地という噂もあるが、西海岸を代表する大都市L.A.に新アリーナが建設される日が来るのか、今後の動向が気になる。

4年連続のプレーオフ進出など、レイカーズとの力関係が逆転しつつあるクリッパーズ。新アリーナを満員のファンで埋め尽くす日が来るのもそう遠くはないかもしれない。