ジェイ・クラウダー

「その感情を正しい方向に作用させないといけない」

10年ぶりの優勝に王手をかけたレイカーズは、ヒートとのNBAファイナル第5戦に『ブラックマンバ・ジャージー』を着て臨んだ。今シーズンのレイカーズは同ジャージーを着用した試合で無敗を守っており、第5戦で優勝が決まるのではという気運が高まった。

だが、ヒートからすれば面白い話ではない。接戦を制した第5戦を終えて、ジェイ・クラウダーは『ブラックマンバ・ジャージー』不敗神話に対する率直な気持ちを打ち明けている。

「相手があのジャージーを着た試合で負けていない、なんて話を耳にすればあまり良い気分じゃない。実際、腹が立ったし、それがモチベーションになった。その感情を正しい方向に作用させないといけないし、今日はそうできたと思う。怒りがチームの力になったんだ」

今年の1月末にコービー・ブライアントが不慮の事故で急死して以降、今シーズンはレイカーズが優勝し、タイトルを故人に捧げるというドラマティックな結末が相応しいのでは、という空気がファン、メディアの間で広がっている。しかし、ヒートは良くも悪くも空気を読まないチームだ。先に打て、強く打て、情けは無用。どの選手も『タンクが空になるまで戦う』精神で、闘志を前面に押し出す姿勢を貫くとともに、逆転優勝を信じて一戦必勝の気持ちで挑んでいる。

もともと『ブラックマンバ・ジャージー』は第7戦で着用する予定だった。もし次の第6戦もヒートが勝利し、GAME7まで決着がもつれた場合、レイカーズは再び『ブラックマンバ・ジャージー』を着るのだろうか。ただ、それはレイカーズの選手たちにプライドとモチベーションを与えることはあっても、不敗神話が崩れた以上、ヒートの選手たちがそれで臆することはない。むしろ、最高のモチベーションになるはずだ。