ランス・スティーブンソン

写真=Getty Images

ペイサーズ球団社長がレブロンから誘ったことを明かす

7月1日、レブロン・ジェームズがレイカーズへの移籍を決めたのと同じくらい、ランス・スティーブンソンが同じくレイカーズとの単年契約に合意したこともサプライズだった。

レブロンとスティーブンソンは、2012年のプレーオフから因縁深い間柄で、最も有名なのが『息吹きかけ事件』と呼ばれる珍場面だ。レブロンがヒートでプレーしていた2014年の東カンファレンス・ファイナルでのこと。フリースローを打つ選手を見守るレブロンの耳に、隣にいたスティーブンソンが息を吹きかけた場面は、NBA史上に残る『珍プレー』の一つとして知られている。

彼らはそれ以降も対戦するたびに激しくやり合った。キャバリアーズとペイサーズによる2018年のプレーオフ1回戦でも、スティーブンソンはレブロンを苛立たせようと執拗にラフプレーを仕掛け、レブロンが応戦する場面も。「あいつは汚い選手」と批判したこともあった。

だが、スティーブンソンは力のある選手だ。ラフプレーや、相手をイラつかせる『悪童』という印象の方が勝ってしまうものの、攻守のスキルは非常に高い。『昨日の敵は今日の友』という言葉があるように、レブロンはレイカーズ復活というプロジェクトに取りかかる上で、強い個性を持つスティーブンソンを求めた。

この憶測を裏付ける発言もある。ペイサーズのケビン・プリチャード球団社長は、レブロンがスティーブンソンを口説いたと『New York Times』に明かしたのだ。

プリチャードによれば、ペイサーズはスティーブンソンへのチームオプションを破棄したが、呼び戻すことも検討していたという。だが、現役最強選手からのラブコールを受けて断れる選手は少ない。プリチャードは「レブロンから『お前が欲しい』と言われたら、断るのは難しい」と語った。

レブロンがこれから取り組む仕事は難題だ。名門という重圧を背に、ウォリアーズ一強と呼ばれる時代に風穴を開けなくてはならない。ましてや敵はウォリアーズだけではない。打倒ウォリアーズに最も近いと言われるロケッツ、ポール・ジョージの残留に成功したサンダー、堅実路線を突き進むも着実に成長し続けているジャズという強豪たちとの戦いも待っている。

マジック・ジョンソンのプランを信頼してロサンゼルスに移ることを決めたレブロン自身が求めたスティーブンソンとの共闘がどう機能するのか。『水と油』になってしまう危険性もありつつ、想像するだけで期待に胸を膨らませてしまう『魅惑のタッグ』になることは、間違いない。