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チーム再建を託すラブコールに揺らいだジノビリ

今夏フリーエージェントとなったエマニュエル・ジノビリ。昨シーズン終了時点では「一度リラックスして今後のことを考えたい」と発言し、現役引退の可能性も囁かれたものの、最終的にスパーズとの再契約に落ち着いた。

まもなく39歳になるベテランは、アルゼンチン代表としてもリオ五輪に出場するなど、まだまだバスケットボールに対する情熱を失っていない。そんな選手ならば、FA市場でも引く手数多だったはず。FA選手との交渉が解禁された7月1日以降、他チームから接触があったかどうかを『The Vertical』に突っ込まれたジノビリは、セブンティシクサーズからラブコールを受けたことを明かしている。

「サンアントニオを離れたいと思ったことなんて一度もないから、シクサーズはメインの選択肢ではなかった。ただ、テーブルの上にあるすべてのオプションに耳を傾けるべきだと思った。フィラデルフィアには、ヘッドコーチとしても人間としても偉大なブレット・ブラウンのような人がいる。彼は素晴らしい人だから、シクサーズが魅力的に見えた。もし、スパーズからオファーがなかった場合に限って、だけどね」

「でも、スパーズからオファーがあって、それで決まった。自分にとっては、スパーズが最優先だから」

2013年から再建プランを継続して実行しているシクサーズは、今年のドラフト全体1位で即戦力新人のベン・シモンズを指名。シモンズはサマーリーグで6試合に出場し、平均10.8得点、7.7リバウンド、5.5アシストという好成績を残し、前評判の高さに違わぬ実力を証明した。ナーレンズ・ノエル、ジャリル・オカフォー、ジョエル・エンビーという3人のビッグマンによりフロントコートが交通渋滞を起こしている状態を改善させなければならないが、シモンズの加入は好材料。ここにもしジノビリが加わっていたら、いったいどんなチームになっていただろうか? 

若手中心のチームには、経験豊富で、バスケットボールへの情熱を持ったベテランが必要だ。スパーズで4度優勝しているジノビリならば、大きな戦力として、そして指南役としても最適と、シクサーズは考えたのだろう。結果として不成立に終わったが、目の付けどころは悪くなかった。昨シーズンは10勝72敗とぶっちぎりの最下位だったシクサーズだが、新シーズンの浮上に期待したい。