ジミー・バトラー

40得点11リバウンド13アシストも「スタッツは気にしない」

40得点11リバウンド13アシスト、さらにはスティールとブロックも2つずつ。これがNBAファイナル第3戦でレイカーズを倒したジミー・バトラーのスタッツだ。クラッチタイムに限らず、試合を通じてバトラーはオフェンスでもディフェンスでも最も重い責任を引き受け、攻めて、走り、守った。48分間の試合で実に45分プレーし、試合を終えてテレビインタビューに答えた後は、スポンサーの看板に腰掛けてしばらく動けなかった。いや、勝利の喜びを噛み締めていただけかもしれない。

ディフェンスが激しくなるプレーオフでトリプル・ダブルを記録できる選手はそう多くない。試合を重ねてプレーが研究され尽くすNBAファイナルであれば、なおさらだ。しかも彼がマッチアップしたのはレブロン・ジェームズである。試合後の会見ではまずスタッツについての質問が飛んだが、バトラーは「トリプル・ダブルのことは気にしていない。僕はいつも言っているように、チームの勝利以外には興味がないんだ」と、心から関心がなさそうにつぶやいた。

しかし、バトラーはスタッツ以外については饒舌だった。スタッツよりもうれしいのは「負けが許されない試合でみんなが僕を信頼してくれたこと」だと語る。「記憶に残るのは勝利だけで、誰が何点取ったかはみんな気にしなくなる。僕らにとっては勝利がすべてだ。パット・ライリーとエリック・スポールストラは、常に勝利を優先するチームを築き上げたんだ。次の試合でヒートが勝ち、今度は僕が無得点だとしても、僕は同じことを言うよ」

質問が集中したのは、勝負どころでのレブロン・ジェームズとのマッチアップについて。今回のNBAファイナルが始まる前、バトラーはレブロンの存在を「合格するまで何度も受け続けなければいけない試験」と表現している。エースである彼がレブロンとのマッチアップに勝つことが、ヒートの優勝のためには避けられない課題だという意味だ。この第3戦では、それが実現できた。

「レブロンとのマッチアップは究極の戦いだ。彼にはここまで何度も何度もやられてきた。彼のことを尊敬しているが、今回はそういうわけにはいかない。僕らは勝つためにここに来ているし、あきらめるつもりはない」

終盤の勝負どころでスタミナが残っていたのは驚きだった。バトラーは第1クォーター終盤と後半の頭にほんの少し休んだだけ。その上でレブロンとのマッチアップを制した。彼は「ジェームズ・スコットの素晴らしい仕事のおかげだ」とトレーナーを称えるとともに「僕は練習が好きだし、この大一番でコーチの求めるプレーを遂行できるよういつも準備をしている」と語る。

また終盤のポゼッションでほとんど自分から攻めたことも「アドバンテージは常にオフェンス側にある。ポジションに入ってしまえば何だって好きなようにできる」と絶対的な自信を語る。ただそれと同時にチームメートへの感謝も忘れなかった。

「チームメートがオープンになっていれば僕はパスを選択する。半分ぐらいは足元へのダメなパスになってしまうんだけど、それでも彼らは何とかシュートを決めてくれる。僕はヒートのチームメートとコーチを心から信頼しているし、一緒にプレーすることを楽しいと感じている。今日みたいに勝てれば最高だよ」

中1日の休養を挟んで第4戦、その後は中2日を挟んで第5戦と試合は続くが、バトラーの信頼する仲間、バム・アデバヨとゴラン・ドラギッチにはケガを治して復帰できるかもしれない。「僕らが戦うのは2人のためでもあるんだ。彼らも僕のために戦ってくれたしね。前の2試合では責任を果たせなかったけど、今夜はやれた。彼らに回復の時間を与えられたことには大きな意味がある」

疲労困憊のはずだが、会見で話すうちにバトラーにはもう次の試合に向けた活力が沸いてきたようだ。「僕らはすべてのポゼッションのたびにタンクが空になるまでプレーするつもりでいる。レイカーズが相手ならなおさら、温存する余裕はないよ。チームメートが助けてくれるから、仕事自体は簡単だ。ただ、全員がすべてを出し切ることだけが大事なんだ」

難攻不落に思えたレイカーズだが、一つ勝てば見え方は変わってくる。もう一つ勝てば、また違った状況が待っているだろう。それでもバトラーは先のことは考えない。シンプルに仲間を信じ、すべての力を出し尽くしてプレーするだけだ。レブロンという試験をクリアしたが、NBA優勝のためには同じ試験をあと3回クリアしなければならない。