クリント・カペラ

写真=Getty Images

より高額な契約を得るための『賭け』に出る可能性

昨シーズンのプレーオフでウォリアーズを追い詰めたロケッツにおいて、先発センターのクリント・カペラの存在は非常に大きかった。

リーグトップクラスのディフェンシブビッグマンとして着実に成長を遂げているカペラは、昨シーズンにキャリアで初めて平均ダブル・ダブル(13.9得点、10.8リバウンド)を達成した。他にもリーグ2位の1.9ブロックを記録。プレーオフでもリムプロテクターとして活躍した。

そのカペラは、この夏に制限付きフリーエージェントになった。ロケッツは長期契約を打診しているようだが、カペラはチームから提示される1年474万ドル(約5億2500万円)のクオリファイングオファーを受け入れ、2018-19シーズン終了後にフリーエージェントになる方を選択すると言われている。

選手寿命の短いNBAでは、長期契約を結ぶ方が賢明ではあるものの、グローバル化も進み、年々右肩上がりのNBAは好景気の真っ最中。カペラのように23歳と若く、働き盛りの選手ならば、より高額な契約を勝ち取りたいと思うもの。とはいえ、来シーズン中に大きなケガを負ってしまえば、プラン自体が消滅してしまうリスクもある。

ジェームズ・ハーデン、そして今オフに4年1億6000万ドル(約177億円)というマックス契約を結ぶクリス・ポールら巨額の契約を抱えるロケッツにとってはありがたい選択かもしれないが、言い換えれば来オフにカペラが出て行ってしまいかねない、ということでもある。

この夏にはレブロン・ジェームズがレイカーズに移籍し、デマーカス・カズンズが王者ウォリアーズに格安の契約で加わることを決めた。来シーズンの西カンファレンスは史上稀に見る大混戦になると予想されるため、ロケッツがプレーオフに勝ち上がるにはカペラの力が必要だ。

カペラがクオリファイングオファーを受け入れて残留するのなら、ロケッツは1年がかりでキャップスペースを整理し、再契約に向けた準備を進めなければならない。ただ、昨シーズンと同様のパフォーマンスを見せれば、フリーエージェント市場でのカペラの価値はさらに上がり、資金に余裕のあるチームが触手を伸ばしてくるだろう。

ロケッツの対応、そして長期契約を見送る決断がカペラにとって吉と出るか凶と出るか、今後に注目だ。