第3クォーターに堅守速攻が炸裂
宇都宮ブレックスが琉球ゴールデンキングスをホームに迎えた開幕戦。第3クォーターにディフェンスから走る得意の展開に持ち込み、リードを2桁に乗せた宇都宮が、その後もディフェンスの強度を落とさずに73-61で逃げ切った。
互いにインテンシティの高いディフェンスを披露し、重い立ち上がりとなったが、ジェイソン・ウォッシュバーンがミドルシュートを高確率で沈めるなど琉球がわずかに先行した。
それでも安齋竜三ヘッドコーチが「前半は交代で入った選手が流れを持ってきてくれて、なんとかリードで終われた」と語ったように、セカンドユニットが流れを引き寄せる。ジェフ・ギブスがインサイドでハッスルし、テーブス海がポストアップからのミドルシュートを沈めて逆転。竹内公輔がプットバックでセカンドチャンスポイントを挙げるなど、セカンドユニットが奮起した。
ジャック・クーリーを中心に攻めたい琉球だったが、ダブルチームに来られるなど宇都宮ディフェンスの前に沈黙。並里成と岸本隆一を同時に起用し、2人の縦への推進力を強調したことで食らいついていった。
前半を終えた時点で宇都宮が6アシスト、琉球が5アシストという数字が示すように、互いに激しいディフェンスの応酬となりイージーシュートはほとんどなく、ロースコアな展開となった。
だが、宇都宮が30-25でリードして迎えた後半に試合が動く。宇都宮はディフェンスのギアを一段階上げ、簡単にエントリーさせずにタフショットを連続で誘発し速攻に繋げた。さらにトラップからのボール奪取にも成功し、堅守速攻が炸裂。比江島慎と鵤誠司の速攻、遠藤祐亮のトランジションからの3ポイントシュートが決まり、約5分間で14-4と走り、琉球にタイムアウトを取らせた。さらのタイムアウト明けのポゼッションでもトラップに成功して、遠藤がスティールからワンマン速攻を決め、最大で19点のリードを奪った。
「宇都宮さんの継続力に僕たちが疲れてしまった印象」
安齋ヘッドコーチが「後半の出だしでどれだけいけるかが今日の勝負とハーフタイムに伝えた。トランジションでパスの展開を早くして点数を取り、良い感じに流れが来て相手がタイムアウトを取った。そこで点数を離せたことで最後まで流れが切れなかった」と試合後に語ったように、ここで大量リードを奪ったことが試合の分かれ目となり、宇都宮が勝利をモノにした。
敗れた琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは「宇都宮さんの継続力に僕たちが疲れてしまった印象。特に後半にハードなディフェンスからトランジションに繋げられてしまった」と試合を振り返った。
宇都宮はジョシュ・スコットの23分59秒が最長のプレータイムとなり、出場した10選手全員が10分以上プレーするなど、徹底したタイムシェアにより最後までディフェンスの強度が落ちなかった。
藤田ヘッドコーチは「宇都宮が特にディフェンスの強度が高いのは知っています。ただ、試合期間がこれだけ空いたので自分たち以外の相手と試合をする機会が少なく、あれだけのフィジカルには慣れていなかった」と話し、リーグ最強クラスの圧力に根負けした結果となった。
キャプテンの田代直希は「宇都宮さんのディフェンスがハードで固く、全体的にやりたかったオフェンスができなかった」と反省を口にしたが、それと同時に宇都宮の強度を体験できたことを収穫に挙げた。
また田代は「点は取られてはいますが、ディフェンスがそこまで悪かった印象はない」とコメント。田代がそう言うように、トランジションからの速攻以外は概ね守れていただけに、明日の第2戦も激しい守り合いが繰り広げられそうだ。