昨シーズンのシーホース三河はリーグ最強のスコアラーであるダバンテ・ガードナーを獲得する『大型補強』を行った。しかし、メンバーが様変わりしたチームは連携を確立するのに時間がかかり、序盤戦で大きく負け越した。シーズン中盤に9連勝を記録するなど上向きかけたが、そこでリーグが中止となってしまった。ガードナーは不完全燃焼に終わった昨シーズンの鬱憤を晴らすべく、ただ勝利だけを追い求める。
3年連続得点王も「今は数字を気にしていない」
――今週末にいよいよシーズンが開幕しますが、チーム、個人ともに調子はいかがですか?
チームの調子はとても良いです。先日、フルメンバーではないですが京都ハンナリーズと練習試合をしました。出だしは苦戦しましたが、粘って最後に逆転して勝つことができました。今シーズンは良いチームになると思います。
僕も全体的に良いプレーができたと思いますが、新しいメンバーが何人かいるので、みんなで良いケミストリーを作るように自分よりもチームメートを生かすためのプレーを心掛けました。新しいメンバーと良いケミストリーを作ることが今シーズンは大事になります。
――今オフは新型コロナウイルスの影響でトレーニングをするにも大変だったと言う選手が多いです。ガードナー選手は8月にチームに合流したそうですが、それまでに苦労はなかったですか?
3月末にシーズンが中止になり、4月の頭にアメリカに帰りました。最初の2週間は隔離で家にずっといて、その後にいつも頼んでいるパーソナルトレーナーと一緒に、ジムで1カ月くらいトレーニングをしていました。ただ、新型コロナウイルスの感染が拡大したためにジムがクローズしてしまい、その後の2、3カ月は自分一人でトレーニングするしかなくなってしまいました。
いつもは筋肉をつけるために大きいタイヤを使ってトレーニングをしたり、重いものを押したり、力自慢の大会に出るような変わったトレーニングをしていました。トレーナーは何が必要かを説明すればメニューを作ってくれますが、自分一人でやるとなったらどうすればいいか分かりません。トレーナーがつかなくなって以降は本当に苦労しました。
――加入1年目となった昨シーズン、チームは期待に応えられず負け越しました。原因は何だったのでしょうか?
ロスターの半分が変わったこともあり、勝負どころで失速しました。残り5分まで競っても勝ち切れず、多くの勝てる試合を落とした印象です。正直、シーズン序盤は噛み合っていないと感じていました。
金丸(晃輔)のような素晴らしい選手と一緒にプレーしたことがなかったので、慣れるまで時間がかかりましたが、彼のためにいつダウンスクリーンをセットするべきかなど、チームメートをどうやって生かすかを考えて、それに集中していくようになったことで、上手くいくようになりました。
――ガードナー選手はしっかりと数字を残しているのにチームは勝てず、そのギャップに苦しむことはなかったですか?
数字はそこまで深くは考えていません。日本に来て最初の2シーズンくらいはスタッツを気にしていましたが、今は気にしていないですし、チームの勝利が一番大事なので。
「とにかく勝ちたくて仕方がない」
――外国籍選手が入国できておらず、特にシーズン序盤はガードナー選手の負担が重くなるのではないでしょうか?
プレッシャーはそんなに感じていません。他の外国籍選手がいてもいなくても、ハードにプレーすることは変わらないので。昔は責任をプレッシャーに感じることもありましたが、今はシンプルに物事を考えています。
――先ほど、数字は気にしていないと言っていましたが、それでも3年連続で得点王となっています。そこまで得点できる理由は何でしょうか?
僕は他の外国籍選手よりも少し小さいので、ブロックされないようにいろいろ工夫しています。ドライブもしますし、少し変わったシュートの打ち方をしていて、ある意味、オーソドックスではないスタイルで攻めているからだと思います。あとは身体の強さですね。幅があるから、それを上手く使って得点に結びつけています。もう一つの理由は、勝ちたい気持ちですね。
――多くの選手が「外国籍選手のレベルは年々上がっている」と言いますが、その中でガードナー選手が得点を取り続けていられるのは、全体のレベルアップよりも自分の成長が上回っているからでしょうか?
なんとも言えないですね。レベルが高い相手と戦う時ほど、相手を倒したい気持ちは強くなるので、モチベーションは上がります。彼らに負けたくない気持ちが、僕のレベルアップにも繋がっているとは思います。外国籍選手のレベルは確かに上がっていると思います。日本のリーグは素晴らしい環境ですし、他国でプレーしている選手からBリーグのことを聞かれることはよくあります。
――昨シーズンはキャリアハイの4.8アシストを記録しました。先ほど、プレシーズンゲームでチームメートを生かすことを心掛けたと言っていましたが、新シーズンはどんなことを意識しますか?
リバウンドとアシストを増やして、コート内でリーダーシップを取ってチームを引っ張りたいです。とにかく勝ちたくて仕方がないので、新シーズンは勝つためなら何でもやります。例えば10得点が必要なら10得点を取りに行くし、リバウンドが20本必要なら20本取りにいきます。自分がベンチで応援することでチームが勝てるのなら、プレータイムを減らすのも問題ありません。とにかく、チームの勝利のためだったら何でもやりますよ。早くプレーしたくて、ワクワクしています。
――準備万端ということですね。では最後に、三河のファンに向けてメッセージをお願いします。
会場は満席にならないかもしれないですが、ファンの皆さんの応援が良いエナジーを与えてくれるので、今シーズンもたくさんの応援をお願いします。3月に無観客で試合をした時は全然エナジーを感じられませんでした。ファンの皆さんが少しでもいたほうが僕たちも楽しいので、これからも応援をお願いします。