写真=Getty Images

幼少時代に南スーダンから移住した『国』へ忠誠を誓う

バックスの一員としてNBAで活躍するソン・メイカーは、オーストラリア代表でプレーする機会を待ち続けていた。生まれは南スーダン。5歳の時に家族でオーストラリアのパースに移住してきた。小さい頃はサッカーをやっていたが、2011年にシドニーに引っ越したのを機に、身長と手足の長さを生かせるバスケットボールへと転向した。

アメリカの高校に進学し、2014年にはカナダのオンタリオ州にあるオレンジビル予備校に編入。2016年のドラフト全体10位でバックスから指名されたメイカーは、2年目の昨シーズンは平均4.8得点、3.0リバウンド、0.7ブロックという成績を残した。この間はNBA選手になる夢を実現させ、その舞台で活躍するのに必死で、これまでオーストラリア代表としてプレーする機会は一度もなかった。

そのメイカーが、今回初めてブーマーズ(オーストラリア代表の愛称)に加わった。メイカーは代表について「オーストラリア代表としてプレーすることは、僕が以前から望んでいたこと。僕と家族に良くしてくれた国のために戦えるなんて、とても意味のあることだ」と語る。

オーストラリア代表はアジア最強チームであり、ワールドカップ予選はここまで4戦全勝、すでに2次予選進出を決めている。それでもNBA選手が加わり初の公式戦となるだけに、今後に向けてケミストリーを構築するためにも、気を引き締めて日本との試合に臨むと見られている。

メイカーは言う。「国のためだけではなくて、家族のためにもプレーする。このチャンスを待っていたんだ。コーチ・ラマニスは、これまでも連絡をくれていた。そして今回、その招集に応じることができたんだ」

本人にとっては良い機会かもしれないが、まだ勝利のない日本には最悪のタイミングだ。今後のNBAを支えるメイカーが、今夜、『崖っぷち』の状態にある日本代表の前に立ちはだかる。