ケビン・デュラント

写真=Getty Images

ウォリアーズ移籍の決断を後押しした父からの手紙

2016年7月にウォリアーズに移籍したケビン・デュラントは、それから2シーズン連続優勝、そして2年連続NBAファイナルMVPに輝く快挙を成し遂げた。

サンダーからフリーエージェントになり、あろうことか最大のライバルだったウォリアーズに移籍する決断を下した後、サンダーファンはもちろん、大半のNBAファンが彼を敵視し、それから1年はリーグ最大の『悪役』と見なされ、本拠地以外ではブーイングを浴びせられた。

決断を迫られたデュラントに「一生のうち一度は自分の好きなように決めろ」、「自分本位になれ」と助言を送った人物こそ、父親のウェイン・プラットだった。プラットは、ケビンを含め2人の息子を授かったが、彼らが幼い頃に家族から距離を置き、父親としての責任を全うしない生き方を選んだ。およそ10年近く息子たちから距離を置く生活を送ったが、今では親子の間に絆が生まれ、友人のような関係性も築けている。

そのプラットは、誰もが認めるNBAのスター選手になった息子ケビンに対して、感謝の気持ちと後悔の念が入り混じっているという。その想いを綴った手紙を、父の日にあたる6月17日に『The Undefeated』で公開した。

「私は今、笑顔で君に宛てるこの手紙を書いている。君を私の息子と呼べて、本当に誇らしい気持ちでいっぱいだ。君が成功を収めるところ、そして人生における試練を神様のご加護によって乗り越えてきた姿を見てきた。それらの試練は、私にじかに関連するものでもある。君が生まれた時のこと、私がそばにいた時に君がスヤスヤ眠る姿は今でも覚えている。私が一緒にいなかった時、そばに君のお母さんがいてくれたことを神様に感謝している。父親になる方法を知らず、その方法を示してくれる父がいなかったことで、私は君と君の兄に対する自分の責任を疎かにしてしまった」

「君が初めて学校に通った日、初めての散髪、休日を一緒に過ごせなかったこと、バスケットボールを始めた日に迎えに行ってやれなかったことを後悔している。それでも、再び私たちが繋がるための機会を与えてくださった神様に日々感謝している。幼い時に心を開いてくれた君には本当に感謝している。どの親子にだって、良い時と、そうではない時がやってくる。私たちも例外ではない。私は、人生の過ちを切り抜ける方法を私たちが見いだせたことを、幸運に感じている。私を許してくれてありがとう。そして、今のような素晴らしい関係性を築くことを許してくれてありがとう」

「ケブ(デュラントの愛称)、今日は父の日だが、私は君を称えたい。君が素晴らしいバスケットボール選手だからではなく、それ以上に素晴らしい息子だからだ。今日は私の日ではない。今日は私たちの日であり、信頼と愛情で私たちが達成してきたことを称える日だ。ケブ、お前を愛している」