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名門再建を狙うレイカーズには千載一遇のチャンス!?

スパーズとの関係悪化が伝えられてから数カ月、カワイ・レナードがついに覚悟を決めた。6月15日、レナードがスパーズに対しトレードを要求したと、複数のメディアが報じた。

レナードとスパーズの関係が悪化した原因は、ケガのリハビリを巡る両者の考え方の違いにあったと言われている。2017-18シーズン開幕前に右足四頭筋の腱を痛めたレナードは、昨年12月に復帰を果たしたものの、右足の状態が思わしくないとしてすぐに戦線離脱。その後、スパーズは苦戦を強いられるも、チーム力で激戦区の西カンファレンスで生き延び、7位に滑り込んだ。この時もチームはレナードの復帰を求めたが、エースはそれにも応じず、スパーズはファーストラウンドでウォリアーズに敗れた。

誰が見ても明らかに出場できない状態だったなら、何も問題はなかった。だが、オールスターゲーム時期にチームのメディカルスタッフがレナードの復帰にGOサインを出しても、レナード個人のアドバイザーがニューヨークの医師の診断を持ち出して出場を拒む事態に。結果、レナードの『取り巻き』が出場を拒んだというキナ臭い噂も出る始末で、指揮官グレッグ・ポポビッチとレナードの関係性が修復不可能な状態にまで悪化したとも報じられた。

それでもスパーズにとってレナードはエースであり、チームの顔である。スーパーマックス契約を提示して誠意を見せた他、6月21日に開催されるNBAドラフト前にはポポビッチと会談の場を設け、お互いの行き違いを解消させることで事態を収拾しようとした。

ところが、ここに来てレナードがトレードを要求。『ESPN』によれば、レナードはレイカーズへのトレードを希望しているという。この話が表に出た以上、両者の関係は破綻したも同然。あとはスパーズがチームにとって最大限の見返りを得られるトレード案を選び、前に進むしかない。本人に希望はあるにせよ、現在の契約にトレード拒否条項が含まれていない以上、主導権はスパーズの手にある。状況は違えど、ちょうど1年前にペイサーズからサンダーにトレードされたポール・ジョージの例が思い出される。

1年前、ジョージはペイサーズに対し、2018年のオフにフリーエージェントになる意思があることを伝え、ペイサーズは生え抜きエースの放出を決断。当初ジョージは地元ロサンゼルスに本拠地を置くレイカーズへのトレードを希望したとも噂されたが、ジョージのケースも球団主導で決まったため、ビクター・オラディポとドマンタス・サボニスとの交換でサンダーにトレードされることで落ち着いた。

無理をしてでもレイカーズは昨年ジョージを獲得しに行くべきだった、という意見もあったが、去年と今年では球団を取り巻く状況が大きく異なる。レイカーズにとっても今夏は重要な時期。数年かけてキャップスペースに大物2選手と契約できるだけの空きを作ったのも、今オフにフリーエージェントになるのが濃厚なレブロン・ジェームズ、ジョージを獲得して名門再建を一気に前進させるため。

もし本当にレナードがレイカーズへの移籍を希望しているのなら、一度に3人のオールスターを獲得できる千載一遇の機会を逃すわけにはいかない。本来ならアンタッチャブルな存在であった、球団の未来を支える若手コアグループの解体も選択肢に入ってくる。ロンゾ・ボール、カイル・クーズマ、ブランドン・イングラムの誰かと、将来的なドラフト1巡目指名権を差し出すくらいの案を提示しなければ、スパーズは納得しないだろう。

だが、レイカーズ以外にも、レナードの獲得に手を挙げるチームは出てくるはずだ。今年2月のトレードデッドライン前にスパーズに連絡を入れたと言われるセルティックス、ベン・シモンズとジョエル・エンビードを擁するセブンティシクサーズも以前からレナードの獲得を検討していると伝えられている。

リーグトップクラスの2ウェイプレーヤーであるレナードの行き先は、間違いなくNBAの勢力図に大きな影響を与える。各チームがドラフトに向けて最終準備を進める中、レナードという大物がトレードをスパーズに要求した以上、21日のドラフトまでに急転直下の超大型トレードが実現する可能性が出てきた。