文=丸山素行 写真=野口岳彦

「一人ひとりボールをもらおうという意識が低かった」

昨日行われたBリーグファイナル、千葉ジェッツはアルバルク東京に60-85で敗れ、準優勝で2年目のシーズンを終えた。千葉のキャプテン小野龍猛は「自分たちがチームとしてプレーできなかったのが負けた原因」と試合を振り返る。

「できなかった」と小野は言うが、実際には「させてもらえなかった」と表現するのが正しい。A東京は選手個々のディフェンス力が高いことに加え、徹底されたポジショニングにより千葉のオフェンスを停滞させた。小野も8得点4アシストとゲームに違いを生み出すことができず、「不完全燃焼で終わってしまったという感じです」と悔やむ。

「それも彼らのプレッシャーだったり、そういうのが一つ上回ったなという感じはあります。プレッシャーが強く、一人ひとりボールをもらおうという意識が低かったです」

司令塔の富樫勇樹は、あまりヘルプに来ないA東京のディフェンスに対し、ピック&ロールでの展開を減らしてギャビン・エドワーズと小野のポストアップを増やす判断をしたが、これも機能しなかった。

「もっと強気にボールを持ってチーム全員でボールムーブメントをする。そういったバスケットをしないと、こういったディフェンスがタフなチームには勝てません。ディフェンスの我慢だったり自分たちのボールをもらう部分、そしてスペーシング、しっかりとボールムーブメントをするという部分ができなかったので、この点差になってしまった」

逆境で再びチームを結束させられず「悔いが残ります」

実力が拮抗したチーム同志の対戦だっただけに、ここまで点差が開くことになったのは誰も予想できなかなっただろう。第3クォーターで5点差に詰め寄るシーンもあったが、その後ターンオーバーから失点するなど徐々に点差が開いていった。

「本当に些細なワンプレーだと僕は思います。我慢し続けなければいけないところで、我慢がちょっと途切れて。自分たちのターンオーバーから速攻された。ターンオーバーが相手のゴールに直結してしまったのが僕の中ではすごく大きく。それが後半多くなってしまったので」

ターンオーバーから19失点を喫し、千葉の武器である速攻での得点でも4-13と上回られた。集中力が切れた結果、シーズンを通して披露してきた千葉の得意なバスケットは影を潜めた。小野はチームの崩壊を食い止められず自分を責めた。

「チームとして出ている人間がハドルを組んだりとか。もっと動かそうとか僕が率先して言えば良かったですけど、そこもなかなか言えずに終わってしまったので悔いが残ります」

敗れても収穫あり「本当に楽しいシーズンでした」

優勝でシーズンを終えることができるのは1チームだけであり、「最後の最後で取れなかったのはすごく悔しい」とネガティブな言葉が出るのも無理はない。だがそれと同時に、Bリーグ最多となる1万2000人を超えるファンの前でプレーできたことには、「楽しかったですね。こういうのがポピュラーになっていけば僕たちも幸せ」と今後のBリーグの盛り上がりへの期待を語った。

今シーズンの千葉は天皇杯2連覇を達成し、激戦の東地区を制した。また入場者数は平均5000人を超え、2シーズン連続でリーグ1位の観客動員数を記録するなど、千葉にとっては最高のシーズンになった。

「選手としてここまで来ることができて、すごく満足しています。天皇杯を取って東地区も取ったので充実したシーズンが送れましたし、横浜アリーナで試合ができたことは今後の選手として良いモチベーションにもなると思います。本当に楽しいシーズンでした」と小野も総括した。

飛躍のシーズンを送った千葉だが、てっぺんの景色だけは見ることができなかった。だがこの敗戦は必ず千葉をより強くするだろう、今シーズンの忘れ物を取り戻すために。