緊張とは無縁のキャプテン小野龍猛「楽しみです」
Bリーグ王者を決めるファイナルを控え、千葉ジェッツは昨日の練習をメディアに公開した。アルバルク東京との『決戦』に向けた準備を進める中でも、チームの雰囲気はいつも通り。もちろん集中しているが、かといって気負いすぎることなく練習が行われていた。
キャプテンの小野龍猛は「楽しみで仕方ないです」と来たるべき決戦を語る。その言葉から『必勝の気迫』めいたものは感じられず、全くの平常心だ。「ファイナルだなーぐらいで、いつも通りに過ごしているつもりです。緊張はなくて、ワクワク感だけです」と飄々としているのが小野らしい。
エースの富樫勇樹も「天皇杯を勝ったこと、東地区で優勝したことでチームとして自信はあります。2冠できたらかなりすごい」と笑顔。良い感じに肩の力が抜けている。
今シーズン限りでの現役引退を表明しており、このファイナルが現役ラストマッチとなる伊藤俊亮でさえ「実感がないのでいつも通り、普通にしてます」と通常営業スタイル。「最後最後と周りが言ってくれますが、個人的にはファイナルに来たぞって気持ちしかないです。同業者からすればうらやましい状況なので、もうちょっとありがたがってもいいのかな(笑)」
「1年目は大丈夫かな? と思ったんですけど」
リーグ優勝の経験がある選手もない選手も、いつも通りに試合へのアプローチを進めている。大野篤史ヘッドコーチはそんなチームの様子を苦笑混じりで「何も変わらないんですよ」と話す。「逆に僕が言いすぎても。彼らのスタンダード、自分の中の習慣を守ってあげたいので。いつもと同じように入って来て、いつもと同じように準備して、行くぞーって感じなので『大丈夫かな?』と思うんですけど(笑)」
本心では大一番に向けて『闘魂注入』をしたいのかもしれないが、大野ヘッドコーチは選手の自主性やプロフェッショナル精神を信頼し、尊重する。「あまり『行くぞ!』と言うのが彼らにとって果たしてプラスなのかは分かりづらいところがあって。僕もいつも通りです」
そこには一発勝負のファイナルである天皇杯で2年連続優勝した自信、いつも通りのルーティーンをこなす選手への頼もしさがある。「1年目は『大丈夫かな?』と思ったんですけど、今年の天皇杯の時は『いつもどおりだなあ』と。リーグでは初めてのファイナルですけど、天皇杯の決勝の時のように彼らを送り出してあげたい」
優勝したら「僕は後ろではしゃいでいればいいです(笑)」
小野キャプテンはチームへの自信を「チームとして我慢強くなったこと」という語る。「接戦を勝ち切る力が出てきたし、昨シーズンは我慢の展開で我慢できずに負けることが多かったのが、今シーズンはそれで勝てる試合が多くなりました。走る展開がレベルアップした感もありますし、チームとしてそこがしっかりできた印象はあります」
「この1年間でチーム全員で切磋琢磨してやってきたので、あと1試合ですべてコートに置いていけるように。やってきたことに結果がついてくると思うので、平常心でやりたいと思います」
富樫も「千葉のBリーグになってからの力はすごく感じていて、特に今シーズンは本当に優勝する力があると思っています」と確固たる自信を持ってファイナルに向かう。
1年目のBリーグは田臥勇太がトロフィーを掲げるシーンで幕を閉じたが、今回はトロフィーを手にする富樫の笑顔がシーズンを象徴するシーンになるかもしれない。だが富樫は、優勝するイメージを明確に持っているのとは反対に、自分がトロフィーを持つシーンは「全く考えたことがないですね」だそうだ。「自分が入ってからの3シーズンずっと龍猛さんがキャプテンとしてチームをまとめてくれていて、そこに対する信頼感はあるので。トロフィーを持ちたいと思ったことがないです。僕は後ろではしゃいでいればいいです(笑)」
2年目のシーズンはどんな『絵』で締めくくられるだろうか。明日のファイナルが楽しみだ。
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