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チーム結束を重視するスパーズ、エースの決断を迫る

昨シーズンのプレーオフ、ウォリアーズとの西カンファレンス決勝の第1戦で、カワイ・レナードはジャンプシュートを放った着地でザザ・パチューリアが踏み出した足に乗ってしまい、左足首を痛めた。エース抜きのスパーズに王者を乗り越える力はなく、ここで敗れている。

レナードのケガは大きな痛手だったが、その時点で次のシーズンもほとんど稼働しないとは誰も想像できなかっただろう。スパーズとの関係に亀裂が入ったと言われるようになることも。

今シーズン開幕前に右足四頭筋の腱を痛めて長期戦線離脱。12月になって復帰したものの、本調子になる前に再びケガをして、レギュラーシーズンの出場は9試合に終わり、プレーオフにも間に合わなかった。「ケガは治っているが、レナード自身がプレーを望んでいない」と勘繰られても仕方のない状況だ。

今回の騒動の発端は、ケガのリハビリ方法を巡る両者の考え方の違いにあったと言われている。チームのメディカルスタッフはレナードが出場できると判断しても、レナード個人のアドバイザーがニューヨークの医師の診断を頼りにしてしまい、平行線状態が続いた。レナードの『取り巻き』が出場を拒んだというキナ臭い噂もあった。業を煮やした指揮官グレッグ・ポポビッチとレナードの関係性が修復不可能な状態にまで悪化したとも言われている。

こうなると、他チームがレナードの獲得を視野にトレードを検討するのは自然なこと。セブンティシクサーズがレナード獲得に乗り出すという報道もあったが、スパーズは、超大物選手を含む『グランドスラム級』のオファーがなければ応じる考えがないとも伝えられた。

この数カ月ずっと、スパーズはエースとの関係が破綻しているとの噂を打ち消そうと試みてきたが、今回が決定打となるかもしれない。『San Antonio-Express News』によれば、スパーズは2018-19シーズン終了後フリーエージェントになれるプレーヤーオプションを保持しているレナードに対し、5年2億1900万ドル(約240億円)のスーパーマックス契約を提示する予定だという。

今回のスーパーマックス契約提示が事実なら、スパーズにレナードを放出する意思がないことの証明になる。どういう理由があったにせよ、スパーズは最大限の誠意を見せようと動き始めた。もしレナードがこの巨額オファーを前に首を縦に振らなければ、球団もあきらめがつく。

噂がどこまで本当かは分からないにせよ、これだけ問題が長引いている以上、クラブとエースの間に溝が埋まれたのは確か。チームの結束を重視するスパーズだけに、エース放出の痛手は他のチームのそれよりも影響が大きい。レナードにとっても、事態が長期化すればするほど選手としての評価が下がりかねない。球団の方からスーパーマックス契約という形で歩み寄ったのであれば、早期解決を願うばかりだ。