2試合連続の活躍で難敵のシーホース三河を撃破
田中大貴はシーホース三河との2連戦でいずれもチームを勝利に導く決定的な仕事をした。昨日の第1戦ではスタッツに出ない働きが目立ったが、第2戦ではゲームハイの26得点をマーク。名実ともにアルバルク東京にファイナル行きの切符をもたらす立役者となった。
「2試合ともオーバータイムで、見てのとおりタフな試合になりましたが、このアウェーの中でメンバーもスタッフもよく戦って、非常に良い連勝になったんじゃないかと思います」と、田中はまずはスタッフも含めたチーム全員の頑張りを称えた。
昨日の第1戦ではシュートタッチがあまり良くなく、自分で無理に打たずに周囲のサポート役に回ったが、今日は「最初に打った時にそこまで悪い感じじゃなかった」と手応えを得て、積極的に打つことで自分の中のリズムを高めていった。26得点はシーズンハイ。ディフェンスの強度が上がり、ロースコアの展開が続くチャンピオンシップ、三河との大一番にこれを叩き出した。
『比江島タイム』に「正直、嫌な予感はよぎりました」
それでも、決して簡単な試合ではなかった。第4クォーターにライバルの比江島慎が大暴れ。長らくマッチアップしてきた田中にとっても嫌な『比江島タイム』で10点前後あったリードを溶かしてオーバータイムに持ち込まれている。
「最後は3点勝っていて、比江島選手に3ポイントシュートを決められたんですけど、あそこは絶対3ポイントシュートはやられちゃいけないところ。決めてきた比江島選手も流石ですけど、やられちゃいけないところ」と反省する。「最後、9秒ぐらいで自分がオフェンスが攻められなかったのもちょっと。延長戦に入った時は良い雰囲気ではなかったですよね。個人的にはあそこで終わらせたかったと正直思っていました」
他の選手は「焦りはなかった」と語っていたが、追われる圧迫感がなかったはずはない。田中は「正直、嫌な予感はよぎりました」と素直に認める。「完全に昨日とは違って追い上げられて、流れは向こうにあったと思いますし、延長でも先に4点取ったのは向こうでしたので、覚悟はしました。だけど落ち着いてジャワッド(ウィリアムズ)がまずミドルシュートを決めて(馬場)雄大もしっかりフリースローを決めて、自分が思っている以上にみんなが冷静に戦えていたので、すごく頼もしかったです」
「今まで一年間やってきたことを土曜日に発揮したい」
田中自身もチームも持ち味を発揮し、最後まで集中を切らすことなく戦えたからこそ、レギュラーシーズンで同一カードの連敗がなかった三河に2試合連続で競り勝つことができた。田中個人としてもチームとしても、非常に充実した2連戦だったと言えるだろう。
横浜アリーナのファイナルで対戦するのは千葉ジェッツ。それでも、三河との激闘を制したことで田中のチームに対する自信はさらに深まっている。「第2戦でこういう勝ち方ができて、みんな来週も良い感じで入れると思います。今まで一年間やってきたことを土曜日に発揮したい」
堅守速攻でありながらチームカラーの異なるA東京と千葉。それでも1年を通して自分たちのバスケットを突き詰め、ここまで勝ち抜いてきた。もっとも競争の激しかった東地区の1位、2位チームによる激突は、どんな結末を迎えるのだろうか。「本当にもうあと1試合だけなので、良い準備をしてすべてを出し切りたい」と田中は抱負を語った。