捻挫した足首は「100%ではないけど大丈夫」
43得点17リバウンド13アシスト。クリッパーズとのプレーオフファーストラウンド第4戦、ルカ・ドンチッチはプレーオフで2試合連続でトリプル・ダブルを記録した2番目に若い選手となり(マジック・ジョンソンに次ぐ記録)、プレーオフで40得点15リバウンド10アシストを超えた3人目の選手となった(オスカー・ロバートソンとチャールズ・バークレーに続く記録)。
それでも、ラストプレーはすべてのスタッツを上回る。数字では計れないインパクトがあった。オーバータイムの残り3.7秒、最後の攻めがドンチッチに託されることは、クリッパーズの選手たちは百も承知。ただ、距離のある3ポイントシュートとは予想しきれなかった。2点を取って同点とする、それでファウルを誘ってフリースローを得るのが、最も確率が高い。
だがドンチッチは迷わなかった。レジー・ジャクソンを左右に振って牽制すると、27フィートの位置から放ったジャンプシュートを沈めた。パスを受けた時点で何を考えていたかを問われ、ドンチッチは「決めることしか考えていなかった」と答える。
「シュートが入った時の気持ちは上手く言い表すことができない。ネットにボールが吸い込まれた直後に、チームメート全員、20人ぐらいが僕に駆け寄って来たのは特別な経験だ。バスケットボール選手としてこれまでで一番と言えるぐらいうれしかった」
プレーオフでクリッパーズを相手に決めた逆転ブザービーターの喜びは、他とは比べ物にならない。これまでも劇的なブザービーターは何度か決めてきたが、それまでのどれとも違うとドンチッチは断言する。
「NBAプレーオフの舞台で、クリッパーズのような強豪相手の試合だったからね。最高の気分だった」
第4クォーターに入ってマブスはリードを奪っていたが、ラスト1分で追い付かれる。そこからオーバータイムも含めて、試合終了までリードチェンジを繰り返しながらも1ポゼッション差の攻防が続いた。ドンチッチとカワイ・レナードのエース対決はブザービーターで決着がついたが、ドンチッチは個人の勝負ではないことを強調する。
「レナードは偉大なプレーヤーだ。彼がシュートを外して僕らが決めている時は楽しいけど、彼を止めるのは並大抵の苦労じゃない。マキシ・クレーバーとドリアン・フィニー・スミスのディフェンスがなければ、僕たちの勝ちはなかったと言っておきたい」
クリッパーズとの戦いはまだまだ長引きそうだ。心配なのは捻挫した足首の状態。「100%ではないけど、スタッフが昨日ずっと治療してくれたおかげで大丈夫」と彼は言う。中1日での試合が続く状況では、ケアが今後の戦いを左右しそうだ。それでも、あのパフォーマンスを目の当たりにすれば、どんな状況でもドンチッチならば試合を決める仕事をするだろうと感じられる。