文=泉誠一 写真=B.LEAGUE

同じホームのプライドを背負う同志からのエール

ポストシーズンという言葉は、なんとなくベースボールで用いられるイメージがある。バスケの場合はNBAや過去の国内リーグを踏まえ、プレーオフの方が馴染み深い。しかし、Bリーグは様々な順位決定トーナメントが用意されており、それらを総じて『ポストシーズン』と呼んでいる。優勝決定戦である『チャンピオンシップ』を始め、下位クラブ同士による『B1残留プレーオフ』、B1昇格を争う『B2プレーオフ』。さらに各プレーオフの結果をもとに、昇降格を懸けた『入替戦』と、4つの真剣勝負が5月の日本を熱狂させていく。

NBAではプレーオフに向かうにあたり、地元の別競技のプロクラブが『Good Luck』とツイッターなどSNSを通じて声援を送っていた。ワシントンD.C.にはアメリカンプロスポーツがすべて揃っている。MLB(ベースボール)はナショナルズ、NHL(アイスホッケー)はキャピタルズ、NFL(アメフト)はレッドスキンズ、MLS(サッカー)はD.C. United、そしてまもなく開幕を迎える女子WNBAのミスティックスが同じホームのプライドを背負って戦う同志である。

プレーオフに進出したウィザーズに対し、本拠地ワシントン D.C.にあるプロスポーツチームが一斉にツイッターを通じて『Good Luck』とエールを送っていた。スポーツがあることで、地域を一つにする好例と言える。

センタービジョンを始めとした様々な電光掲示板に、他の競技の速報が流れるNBAアリーナもある。同時期に行われている地元チームの活躍を知ったファンは、目の前に行われているプレーとは関係なくアリーナ全体で盛り上がる。バスケ単体ではなく、スポーツ全体を楽しむ文化が根付いていることがうらやましい。

我がウィザーズはプレーオフ1回戦で惜しくも敗れ、すでにオフシーズンに突入してしまった。同じキャピタル・ワン・アリーナを本拠地とするキャピタルズは、イースタンカンファレンス・ファイナルへ駒を進め、快進撃を続けている。キャプタルズのユニフォームを着たケリー・ウーブレJr.とマイク・スコットがフェイスブックを通してエールを送っていたのが微笑ましい。

地元との接点を増やすことで『相乗効果』に期待

これからはじまるチャンピオンシップ出場を決めた8クラブの各地域には、刈谷市を拠点とするシーホース三河を除き、それぞれJリーグクラブがある。

栃木ブレックス=栃木SC
アルバルク東京=FC東京、東京ヴェルディ
京都ハンナリーズ=京都サンガ
琉球ゴールデンキングス=FC琉球
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ=名古屋グランパス
千葉ジェッツ=ジェフユナイテッド千葉
川崎ブレイブサンダース=川崎フロンターレ

千葉には千葉ロッテマリーンズ、東京には東京ヤクルトスワローズと読売ジャイアンツ、名古屋にも中日ドラゴンズがある。来シーズンから川崎ブレイブサンダースの運営を承継するDeNAが持つ横浜DeNAベイスターズとのつながりは強いはずだ。同じホームで戦うJリーグクラブやプロ野球球団から、アメリカ同様にエールの交換があるだろうか。

プロだけではなく、母体企業やスポンサー企業が持つスポーツチームを巻き込めば、その接点はさらに広がっていく。すでにオフを迎えているWリーグのトヨタ自動車アンテロープスや三菱電機コアラーズは同じ母体企業傘下のクラブへのアクションを期待したい。他競技などと接点を持つことで、それらを支える多くのファンにもBリーグのことを知ってもらえる。同じホームの同志という共通点を通じて、ファンを行き来させる相乗効果を得られることだろう。

残念ながらポストシーズンに絡むことはできなかったレバンガ北海道は、5月4日の北海道日本ハムファイターズのホームゲームで多嶋朝飛が始球式を行った。様々な形で同じホームのプロクラブとの交流は始まっている。競技は違えど、その地域を活性化する使命は同じである。