ロールプレーヤーも将来のための指名権も必要ない
現地20日に行われたNBAドラフトロッタリーで、ウォリアーズは全体2位指名権を引き当てた。今シーズンはNBA30チームの最下位に沈んだが、来シーズンはステフィン・カリーとクレイ・トンプソンが揃い、本来の強さを取り戻すだろう。NBAの覇権を取り戻そうとするチームにさらなる勢いを与えるのがこの2位指名権だ。
今年のドラフト候補にルカ・ドンチッチやザイオン・ウイリアムソンのような『超大物』はいない。ウォリアーズが欲しいのは即戦力で、2位指名権をトレードの駒として有効活用することを考えるはずだ。
全体1位指名権を持つティンバーウルブズが誰を指名するかによるが、今年の注目候補であるラメロ・ボール、アンソニー・エドワーズ、ジェームズ・ワイズマンといった選手を取りたいチームは、ウォリアーズとのトレードに興味を持つだろう。ブルズ、ピストンズ、ニックス、またNBAファイナルで対戦し続けたライバルのキャバリアーズは交渉に応じると思われる。
ボブ・マイヤーズGMは2位指名権を引き当てたカリーを「君を獲得できたのと同じぐらい大きい」と称え、「トレードをするだろうと言われているが、まずは状況を確認して整理したい」と今後の戦略がまだ決まっていないことを強調した。
新型コロナウイルスの影響で、今年の選手獲得の状況は例年とは大きく異なる。大学バスケシーズンの中止で直近のプレーは確認できなかったし、選手の身体能力をチェックするドラフトコンバインは開催されていない。マイヤーズGMは「大金を払って契約する選手をZoomの面談だけで決めるわけにはいかない」と語る。
NBAドラフトは10月16日に行われる予定。それまでウォリアーズはすべての可能性を時間をかけて検討するということだ。『バブル』でのシーズン再開に参加していないチームは9月14日から練習を再開できる。そこでカリーとトンプソンはもちろん、ケボン・ルーニーやエリック・パスクホール、ジョーダン・プールといった若手の状態をチェックできる。
トレードを急ぐ必要はない。ただ、一つ確かなのはウォリアーズが優勝を狙う以上、オールスターかそれに準じる選手との契約が必要だということだ。勝ち続けている間にカリーは32歳、トンプソンとグリーンは30歳と年齢を重ねた。豪華な戦力に2位指名権を持つウォリアーズは『富める者』だが、残された時間は決して長くはない。スプラッシュブラザーズが機能しない1年を経て分かったことは、今は彼らのケガは一時的ものであっても、数年後にはトップを張れなくなる。その時は、『15勝50敗のチーム』から再出発しなければならないということだ。
NBAのレギュレーション上、『常勝チーム』は存在し得ない。5年続けてNBAファイナルに進出し、その間に3度の優勝を果たしたウォリアーズは、すでに歴史に残るチームとなった。ここで再建に舵を切るという選択肢もないわけではないが、彼らにその意図はない。再建よりも難しい、来シーズンの優勝を狙うというミッションに挑む。
もう1年も無駄にはできない。ロールプレーヤーを獲得して層を厚くすることさして意味はなく、将来のための指名権も必要ない。今すぐにタイトル獲得の力になる選手だけがウォリアーズのターゲットになる。ケビン・デュラントを迎え入れた2016年のような補強ができるか。『王朝』が健在であることを示すために、ウォリアーズにとっては重要な夏になる。