昨シーズン、コー・フリッピンはアメリカの大学で力を磨いた逆輸入ルーキーとして千葉ジェッツに加入した。シーズン序盤はプレータイムをなかなか獲得できずに苦しんだが、12月下旬からローテーション入りを果たすと、持ち前の身体能力を生かした豪快なプレーで存在感を高めていった。Bリーグの環境にも慣れ、2年目のブレイクが期待される若武者に新シーズンへの意気込みを聞いた。
「地元のレイカーズを応援している。クリッパーズよりレイカーズだ」
──まず、日本に戻ってチームに合流するまではどのように過ごしていましたか。コロナ禍でワークアウトをする場所を見つけるのに苦労しましたか。
7月始めに日本に戻って来たのですが、戻るにあたって空港や飛行機の中は感染対策がしっかりされていたので安心でした。その後、自粛期間を経てチームに合流しました。ロサンゼルスに帰省していた間は、2人のトレーナーとそれぞれ1対1でワークアウトをしていました。ともにトレーナーが個人で保有しているジムで、誰がいつ利用するのかしっかり管理されていたので安心して使えました。ワークアウトでは特にスキルの向上に取り組んでいました。また、ユーローカップでプレーしていた選手たちと一緒にトレーニングを行う時もあって、いろいろと学ぶことができましたね。
──ちなみにNBAの試合は見ていますか。
NBAは毎朝見ています。いつもと違う環境だけど、バスケットボールはバスケットボールだから違和感はほとんどないし、バスケを見られるのはハッピーです。応援しているのは地元のレイカーズで、カワイ(レナード)は好きだけど、クリッパーズよりレイカーズです。僕はコービー(ブライアント )やシャック(シャキール・オニール)を見て育ったから。
──昨シーズンを振り返りたいのですが、シーズン中盤からプレータイムが増えた要因はどこにあったと思いますか。
自分のやり方を少し変えました。ヘッドコーチの助けも大きく、同じ方向を向くことができるように一緒になって取り組み、信頼を得たことでプレータイムが増えたと思います。そもそも昨シーズンは僕にとって新しいチーム、新しいコーチの下でのプレーで、そういった新しい環境では慣れないといけないことがたくさんありました。
「新しい選手が入るのはバスケットのビジネスの一部」
──昨シーズン、印象に残った出来事を一つ挙げるとすれば?
10連勝を達成したこと。1カ月以上に渡って負けなかったのは僕にとってもベストの出来事でした。
──今夏の千葉は積極的な補強を行い、ポジションが被る可能性がある選手が3名(佐藤卓磨、赤穂雷太、シャノン・ショーター)も加入しました。
僕は競争が好きだし、新しい選手が入るのはバスケットボールのビジネスの一部だから、プロバスケ選手はチームに誰が加わるかを心配すべきではないし、千葉のロースターのレベルは毎年上がるものだと思っています。それに彼らは僕とはタイプが違います。彼らはシューティングガードとスモールフォワードを兼ねることができる選手で、僕はポイントガードもこなせるシューティングガードです。
──選手の入れ替わりはビジネスの一部と考えているのなら、小野龍猛選手の移籍についてはどう感じましたか。
龍猛はよく僕に声を掛けてくれたし、仲が良かったから、彼の移籍には寂しさも感じます。ただ、彼にはチームを離れる理由があり、自分にとってベストの決断をしたんだと思います。その決断は理解できるし、移籍はよく起こるものですから。
──チーム2年目となり、昨年に比べてやりやすい部分はありますか。
2年目なので、自分が何を期待されているか、何をフォーカスすべきかがもう分かっています。コーチは僕がコート上で成功を収めるための方法を知っているし、その期待に応えられていない時にどう修正すれば良いのかも分かっている。信頼関係は簡単に構築できるものじゃないけど、それを踏まえても昨年の開幕前に比べたらすごく良い状況にあると思います。
ただ、今シーズンも環境の変化にアジャストする必要はあります。リーグのレベルは高くなっているし、新しい選手も来ています。だから毎年、自分のスキルを磨いてレベルアップしないといけないと思っています。
──新シーズンにおける自分の役割、目指すプレーをどう考えていますか。
自分の役割は基本的に変わることはありません。ただ、2年目でより多くのものを期待されるので、自分のベストを尽くすことに集中していきます。シューティングガードをやりつつ、状況に応じてポイントガードもこなせるようになりたいですね。ポイントガードの(富樫)勇樹、(西村)文男、アキ(藤永佳昭)はシューティングガードの役割もこなせるタイプで、状況に応じて役割を入れ替えれば相手にとって守りにくく、アドバンテージになります。新加入の選手たちも含め、複数のポジションをプレーできる選手が一緒にコートに立つことがチームにとっての武器になると思います。
今シーズンはより安定して得点を挙げられるようになりたいです。自分が点を取れることは分かっているけど、昨シーズンは波がありました。守備で調子の波がなかったのは良かったので、すべての試合で点を取っている姿を見せたいです。
「高いレベルのガードとマッチアップできるのも楽しみ」
──新シーズンも千葉は優勝候補として期待されます。そこについて意識しますか。
まだ僕たちは何も成し遂げていないチームで、すべての試合で自分たちの力を証明しないといけない。優勝候補と言われていても、相手が試合で勝たせてくれるわけではないので。試合を重ねていくごとに、自分たちのリズムをつかんでいきたいと思います。
──では、特に楽しみにしていたり、注目していることはありますか。
昨シーズンはなかった沖縄でのアウェーゲームが3月にあるのは楽しみです。沖縄は母の地元で、これまでもおじいちゃん、おばちゃん、親戚に会いに何度も行きました。ビーチで遊んだり、首里城にも何度か行きました。これまで沖縄に行った時は、短くても2週間、だいたい1カ月は滞在しているから、いろいろな思い出がある土地なんです。
また、外国籍のガード選手が新しく何人かリーグに入ってきたので、マッチアップできるのが楽しみです。
──最後にファンへのメッセージをお願いします。
今は感染対策をしながら過ごして、自宅でチームのサポートを続けてほしいです。シーズンが開幕して会場で会えるようになることを楽しみにしています。