ルカ・ドンチッチ

勝負のカギはリバウンドとコンディショニング

2位クリッパーズと7位マーベリックスの対戦。通常であれば上位シードが楽に抜ける組み合わせですが、ハイレベルな争いを繰り広げる西カンファレンスではファーストラウンドから白熱した戦いが期待され、マブスが勝ち上がるチャンスも十分にあります。

特にバブルに入ってからルカ・ドンチッチとクリスタフ・ポルジンギスの両エースが絶好調で、豪華メンバーを誇るクリッパーズが相手でも個人の戦いで上回る可能性すら秘めています。まずはクリッパーズ側がどんなディフェンスを仕掛けてくるかがキーポイントになります。

ポール・ジョージとカワイ・レナードの両スーパースターや、へばりつくようなディフェンスをするパトリック・べバリーもいるクリッパーズは、ガードを止める手段を多く持っています。7戦トータルで見た時に、MVP級の力を持つドンチッチと言えどもこのディフェンス陣を突破するのは簡単ではありません。ただし、べバリーのコンディションは整っておらず、どこまで守れるのか不安な部分もあります。

一方でポルジンギスについては、今シーズンの直接対決でフィールドゴール成功率35%に押さえ込んでおり、レナードやジャマイカル・グリーンが自信を持ってマッチアップしてくるでしょう。バブルでのポルジンギスはオフボールでのポジショニングを改善したことで、中断前よりもフリーでシュートを打つ機会が増えたことが好調の要因で、「マッチアップさせない」ことが大切になります。

強力なディフェンダーに追い回される両エースが苦しむことが予想されるものの、アップセットを起こすためには彼らの打開が欠かせません。クリッパーズのコンディションも完全ではないだけに、個の戦いで上回りたいところです。

マブスも優秀なディフェンダーであるドリアン・フィニー・スミスが、レナードを大いに苦しめてきました。加えてチームディフェンスによるカバーリングも徹底されており、ポルジンギスのブロックショットを中心に簡単には得点を許しません。双方のディフェンスが相手エースを抑え込む図式が成立しそうです。

しかし、シーズン中の対戦はクリッパーズが3連勝と圧倒しています。その理由はセカンドチャンスでの得点を多く上げたことにあり、マブスは相手のエースに対して分厚く守った結果として体勢が崩れてしまい、オフェンスリバウンドを奪われています。スーパースターをチーム全体で止めつつ、リバウンドにも備えるのは難しかったと言えます。

マブスにとって不安要素となるリバウンドですが、クリッパーズにとってもモントレズ・ハレルが不在の状態が続いており、バブルではオフェンスリバウンドが取れていません。両チームにとってキーポイントとなる部分が、未知数になっています。

プレーオフが進むにつれて選手が揃ってくると予想されるクリッパーズですが、現状は攻守にキーマンを欠き、マブスからするとアップセットを起こすチャンスがあります。シーズンを最も盛り上げた主役の一人であるドンチッチが優勝候補にも挙げられるクリッパーズを撃破できたとしたら、その時は彼はプレーオフの主役であり、NBAの主役と呼ぶべき存在になっているはずです。