文=立野快 写真=B.LEAGUE

小野龍猛「接戦を勝ち切れるチームになった」

今日、千葉ジェッツは千葉ポートアリーナで川崎ブレイブサンダースと対戦する。現在の順位から変動がなかった場合、チャンピオンシップの初戦で対戦するカードだ。

千葉は昨シーズンのチャンピオンシップで、栃木ブレックス相手に大逆転負けを喫して敗退。栃木の勢いに飲み込まれ、劣勢に回ると立て直せずにそのまま押し切られてしまった。だが今は脆さがなくなり、相手の時間を作られても耐えきる地力がついている。激戦の東地区優勝までマジック1と迫っているのも、チームとして成長した結果だ。

キャプテンの小野龍猛は「接戦を勝ち切れるチームになった」とこの1年でのチームの変化を語る。ポイントガードの西村文男は「ここで崩れていただろう、一人でやりだすだろうというところでギュッと締められるようになってきている」と表現する。チームとしての成熟が、試合運びの課題を解消させたのだ。

40分間を通した試合運びのうまさではリーグ屈指の川崎との対戦は、チャンピオンシップを前にチームの成熟度を試す絶好の機会となる。川崎ではエースのニック・ファジーカスが日本国籍を取得し、帰化枠としての起用が可能となったことで注目を集めるが、石井講祐は「僕らにはどうしようもできないことなので」と気にしていない。「それより自分たちがどういうバスケットをしたいかをどんどん突き詰めていけば良い結果になると思っています」

小野もファジーカスの帰化について「特に変わらないです。しっかりとチームディフェンスをして自分たちのバスケットをすれば」と、あまり意識はしていない。

「60試合を通して、課題を見つけて成長して」

気負わずどっしりと構えているのは、東地区優勝へのマジックが「1」という状況に対しても同じ。小野はこちらについても「あまり気にしていないです。残り3試合をしっかり勝つことでチャンピオンシップに向けて良い準備になる」と言い、石井も「1試合1試合勝つということがチャンピオンシップにつながるので、勝つことにも内容にもこだわって、残りの試合で自分たちのバスケットに集中してやっていきたい」と話す。

それでは大野篤史ヘッドコーチはどうだろうか。常に選手たちの気を引き締め『戦う集団』へとまとめ上げてきた指揮官は、川崎戦に向けて「今持っている自分たちの力を発揮したい」と意気込む。「誰かを休ませるとか、チャンピオンシップでどこと当たるかとか、僕たちじゃコントロールできないので。この60試合を通して、課題を見つけて成長してチャンピオンシップに臨みたいし、良い前哨戦になると思います。良いチャレンジができるようにやっていきたい」

目の前の試合に集中し、自分たちのスタイルを徹底してやり抜くこと。2年前の夏に大野がヘッドコーチに就任して以来、千葉は一つのスタイルをやり続けてきた。その結果は天皇杯連覇という形で出ているが、今回はその集大成が問われる。彼らのメンタルとしては「チャンピオンシップから」ではなく「この試合から」だ。昨シーズンのファイナリストである川崎を相手にどんなパフォーマンスを見せられるか。千葉ブースターならずとも大いに期待したい。