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荒れ模様の激闘を「ミスを見逃さない」シクサーズが制す

ヒートとセブンティシクサーズの第3戦、荒れ模様となった激戦を制したのはシクサーズだった。ベン・シモンズとジョエル・エンビードが引っ張るシクサーズが先行し、ベテランのドウェイン・ウェイドが流れを変えてヒートが逆転するという展開に。

どちらもプレーの強度が高く、ぶつかり合いが頻発。第2クォーター残り4分半には、ルーズボールを巡って複数の選手がフロアにダイブ。眼窩骨折でフェイスガードを着用しているエンビードがフルスピードでボールに飛び込み、衝突されたヒートのジェームズ・ジョンソンが起き上がれなくなり、ジャスティス・ウィンズロウは目尻から出血し治療でコートを離れることになった。しかしボールを拾ったヒートの速攻でプレーは続いており、ゴラン・ドラギッチがファウルで止められた後にロバート・コビントンに突き飛ばされる。これに怒ったジェームズ・ジョンソンと揉み合いになり両者にテクニカルファウルがコールされた。

その後もスクリーナーのシモンズがウェイドを胸で突き飛ばしオフェンスファウルを取られたり、エンビードをドラギッチが吹き飛ばしてスティールを決めたり、両者一歩も引かない熱いバトルを展開。

79-83とビハインドで最終クォーターに入ったシクサーズだが、終盤に運動量を維持できないヒートの弱点を突く。残り10分、エンビードのブロックショットから走ったシモンズが珍しくイージーシュートをミスしたのだが、ヒートは誰もついて来れず、シモンズは落ち着いてリバウンドを拾い、83-83と同点に追い付く得点を決めた。

たまらずヒートはタイムアウトで流れを切ろうとするが、再開後の攻めはまたもエンビードのブロックショットで止められ、そのエンビードにフリースローを決められ逆転を許す。その次の攻めでもエンビードのブロックを浴び、JJ・レディックにバックドアを決められ、14-0のランを浴びた。終盤にウェイドの連続得点で1点差まで詰め寄るも、逆転には至らず。ホームで痛い敗戦を喫し、ウェイドは「シクサーズはミスを見逃さない。一度でもミスをしたり、アクセルから足を少しでも離そうものなら、その代償を支払うことになる」と、相手の強さをあらためて噛み締めた。

106-102で勝利したシクサーズでは、ベン・シモンズは1980年のマジック・ジョンソン以来初となる、プレーオフでトリプル・ダブルを記録したルーキーとなった。シモンズ自身は「自分の仕事ができているということ。正しいプレーをしていれば、記録や他のものは後からついてくる」とクールだが、チームメートはそうではない。

エンビードは「あいつは化け物だよ。なぜ新人王なのか、今夜のパフォーマンスで分かっただろ?」と称賛。またレディックは「今のベンになら『平均トリプル・ダブル』だって期待できる。今シーズンずっと注目しているけど、ここ4試合でリーダーとしても殻を破り始めている」と語る。

シクサーズはこれで3勝1敗と1回戦突破に王手をかけた。中2日の休養を挟んで迎えるホームでの第5戦で決めてしまいたいところだ。