文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

3ポイントシュート6本、辻直人が千両役者ぶりを発揮

昨シーズンのファイナルの顔合わせ、川崎ブレイブサンダースと栃木ブレックスの第1戦。今シーズン最多の4497人を集めたとどろきアリーナの後押しを受けた川崎が、終始自分たちのペースで試合を進め、89-61の大勝を収めた。

両チームともオン・ザ・コート「2」、素早い展開からアウトサイドでオープンを作り喜多川修平、遠藤祐亮が決めた栃木が先行するが、川崎も辻直人が3ポイントシュートを連続で沈めて追い付く。ライアン・ロシター越しのフローターをニック・ファジーカスが沈め、篠山竜青が3ポイントシュートで続いた川崎が19-14と逆転。セカンドユニットを投入して立て直しにかかった栃木に対し、辻直人が再び連続3ポイントシュートを決めて27-18と突き放した。辻は5本中4本の3ポイントシュートを成功させ、第1クォーターを27-20と川崎が取った。

第2クォーター、辻に代わって主役を演じたのはファジーカスだ。オン「2」の第1クォーターには攻撃の中心をジョシュ・デービスに任せていたが、オン「1」になるとオフェンスを主導。5本のシュートをすべて決めて11得点を挙げるとともに、守備ではリバウンドでも奮闘。第1クォーターに4本、第2クォーターには5本のディフェンスリバウンドを取り、栃木の強みであるオフェンスリバウンドからの攻めを封じた。

ファウルトラブルで反撃を妨げられた栃木

栃木ではギブスが川崎の分厚いディフェンスをこじ開けて得点を続けていたが、ファウルトラブルでベンチに下がる羽目に。第2クォーターはチームファウルもかさみ反撃の妨げとなった。

46-34で迎えた後半、鎌田裕也が守備ではリバウンド争いでロシターから、攻めではインサイドの合わせのパスを呼び込み田臥勇太からファウルを誘う貴重な働き。さらに鎌田がティップでつないだセカンドチャンスをファジーカスがしっかり決めて、残り5分半で56-36と点差は20に。ファジーカスをベンチに下げた時間帯も川崎は主導権を明け渡すことなく、篠山がブザービーターの3ポイントシュートで締めて63-46で最終クォーターへ。

大量リードでファジーカスをベンチに置いたままの川崎。対する栃木はシュート確率が上がらず反撃に勢いが出ない。川崎のディフェンスをこじ開けられず時間ばかりが過ぎることで焦りも生まれ、鵤誠司がスクリーンをかけたルー・アマンドソンを突き飛ばしてアンスポーツマンライクファウルを取られてしまう。川崎はたたみ掛けるかのように辻の3ポイントシュート、谷口光貴のミドルジャンパーで点差を広げていった。栃木は序盤は効いていたギブスのインサイド、遠藤のアウトサイドも決まらなくなり、打開する手がない状況となってしまった。

最後までプレー強度の落ちない川崎、28点差の圧勝

タイムシェアができていてプレーの強度が落ちない川崎は、オフィシャルタイムアウトの直前にはテンポ良くパスを回して栃木ディフェンスを崩し、谷口を右コーナーでオープンにしての3ポイントシュートを決めて77-51。これでほぼ勝敗は決したが、川崎の勢いはなおも落ちず、辻がシュートチェックを受けながらもこの試合6本目の3ポイントシュートを決めて30点差に。

最終スコアは89-61。リバウンドで43-28と川崎が圧倒し、オフェンスリバウンドの数で10-9、セカンドチャンスポイントでも13-7と上回った。また前線から激しいプレッシャーを掛け、インサイドではダブルチームを多用する強度の高いディフェンスを続けながらファウルを13に抑えたことも大きい。逆に栃木はファウルがかさんだことで持ち味のディフェンスを発揮できなかった。

チャンピオンシップ前哨戦とも言うべきこの試合、長所を何一つ出せなかった栃木だが、このままでは終われない。明日の第2戦までにどう立て直すか、チームの結束力と対応力が問われる。