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スパーズは妻を亡くしたポポビッチに勝利を捧げられず

NBAプレーオフ1回戦、王者ウォリアーズは難敵スパーズと敵地で対戦。得意の3ポイントシュートこそ試合開始から14本中1本成功となかなかリズムをつかめなかったものの、ケビン・デュラントが26得点9リバウンド6アシスト、クレイ・トンプソンが19得点でチームを牽引し、110-97で勝利した。ウォリアーズは3連勝で1回戦突破に王手をかけている。

スパーズの本拠地AT&Tセンターに詰めかけたファンは、久々のホームゲームを複雑な気持ちで迎えなければならなかった。試合前日、ヘッドコーチのグレッグ・ポポビッチが最愛の妻を亡くしていたからだ。ポポビッチは家族との時間を優先し、第3戦を欠席。代わりにアシスタントコーチのエットレ・メッシーナがベンチで采配を振るった。

前日、ポポビッチの愛弟子の一人であるトニー・パーカーは、「ポポビッチと奥さんのために勝ちたい。だから100%の力でベストを尽くす」とコメント。チームに黄金期をもたらした相棒のマヌ・ジノビリも、試合当日の練習後「みんなが傷ついている。ポップ(ポポビッチの愛称)を支えたい。でも今日は戦わないといけない日だ。間違いなく、全員にとってつらく、コートに立つことが楽ではない日」と、夫人の死を悼んだ。

なんとしてでも勝利をポポビッチに捧げたいと願ったスパーズを尻目に、王者ウォリアーズが試合の主導権を握る。第3クォーター序盤にはスパーズに2点差に詰め寄られる場面も見られたが、ウォリアーズはそのたびにアンドレ・イグダーラとドレイモンド・グリーンが3ポイントシュートを決めてコントロール。前半は絶不調だった3ポイントシュートを第3クォーターは11本中5本成功させてリードを2桁に広げて勝ちきり、シリーズ突破まであと1勝に迫った。

デュラントとトンプソンの活躍も去ることながら、セカンドユニットを支える一人、ショーン・リビングストンがプレーオフ3試合目にしてようやく本領を発揮したのは大きい。20分の出場で16得点を挙げ、ステフィン・カリー不在の穴を埋めた。ウォリアーズは、第1戦でシーズンハイの15得点を決めたジャベール・マギー、第2戦で同じくシーズン最多の14得点をマークしたイグダーラに続き、第3戦でも優勝に欠かせないベテランのリビングストンが存在感を発揮。レギュラーシーズン終盤にカリー、デュラント、トンプソンの離脱で失速した時期に失いかけたチーム本来の姿を取り戻しつつある。

この勢いのまま22日の第4戦にも勝ってシリーズスウィープを果たし、カンファレンス準決勝まで十分な休養を得たいところだ。

逆に追い詰められたスパーズには、気持ちを切り替え、背水の陣で臨む以外に道はない。ポポビッチが第4戦で指揮を執るかは未定だが、心痛に打ち克ち強豪の意地を見せてもらいたい。