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最もファンを魅了する『ストーリー』はレイカーズ

今オフの最大の話題はレブロン・ジェームズの去就になる。所属するキャバリアーズとの契約は来シーズンまで残っているが、契約最終年を破棄してフリーエージェントとなるのはほぼ確実。レブロンは今夏、キャリア最後の大型契約をどこと結ぶか、じっくり考えることになる。

とはいえ、移籍先の候補はそう多くない。33歳になった今シーズンにレギュラーシーズン82試合すべてに出場し、身体的衰えを全く見せないレブロンは『勝てるチーム』を選ぶと明言している。優勝を目指す姿勢のないチームは候補から外れる。また優勝を狙えるチームであっても、今のチームを崩したくないチームは『キング』を迎え入れる必要がない。

移籍先の候補となるのはロケッツ、レイカーズ、セブンティシクサーズの3チーム。そしてキャブズとの再契約という選択肢から、レブロンは決断することになるだろう。

NBAの中でも最大の名門であるレイカーズは、この夏に向けて大物フリーエージェント選手を迎え入れられるだけのキャップスペースを作っている。当然、第1のターゲットはレブロン。さらにポール・ジョージかデマーカス・カズンズのどちらかを迎え入れ、一気に優勝を目指せるチームを作る計画だ。

ロンゾ・ボール、ブランドン・イングラム、カイル・クーズマと楽しみなタレントを擁しながら、今シーズンのレイカーズはプレーオフ進出を逃している。現時点で『勝てるチーム』ではないが、ここにレブロンが加われば新たな化学反応が起こるはず。またコート外のレブロンのビジネスを考えた場合、ロサンゼルスに拠点を置くことは非常に大きな要素となる。それ以上にレブロンのレイカーズ行きを後押しするのが『ストーリー』だ。

レブロンが『神様』マイケル・ジョーダンにも肩を並べようとしているのはなぜか。それは単純なパフォーマンスや実績だけでなく、ドラマチックなストーリーをファンに見せるセルフプロデュース能力に秀でているからだ。マイアミではスーパーチームを作って自身初のNBA優勝を取りに行った。そしてキャブズに戻り、故郷クリーブランドに初優勝をもたらした。これ以上のストーリーとなると、そう簡単には考えられない。

NBA最大の名門であるレイカーズは2009-10シーズンを最後にファイナル優勝から遠ざかっている。レイカーズを再建し、再び優勝へと導くことは、レブロンにとって最高のストーリーとなる。レブロンは「シーズン終了後に考える」とコメントしており、今この話題を考えても居酒屋談義の域を出ないが、プレーオフの最中でもなお、レブロンの去就は大きなテーマである。