写真=足立雅史

東京オリンピックまで見据え、悩んだ末で移籍の決断を下す

日本代表の竹内公輔が栃木ブレックスに移籍することが決まった。

昨シーズン限りで広島ドラゴンフライズとの契約が満了となることを受けて、竹内は5月中旬の時点で「すべてのオファーを聞く」という方針を明らかにしていた。そして実際に、多くのチームから具体的なオファーを受け取っていたようだ。

それもそのはず、竹内はリオ五輪の世界最終予選でもレギュラーとしてプレーした日本代表の主力選手である。パワーフォワードのポジションを竹内のような実力のある日本人選手に任せられれば、外国人枠を他のポジションで使えるため、チームとしては戦いの幅が大きく広がる。そういう「付加価値」もあり、どのチームから見ても竹内は欲しい人材だった。

移籍先が決まるまでの間、竹内は大いに悩んだようだ。一つは2年間プレーした広島への愛着だ。かつてともにプレーした佐古賢一がヘッドコーチとなったことで、彼を慕って加入したのが広島ドラゴンフライズである。チームにも土地柄にも強い愛着があったが、これから始まるBリーグの1部でプレーしたいという思い、そして4年後に控える東京オリンピックをキャリアの集大成にしたいという思いが、竹内に移籍を決断させた。

竹内はマネジメント会社を通して、広島のファンへ向けて次のようなメッセージを発表。「自分の本心に問いかける作業を最後の最後まで行った、正直なところもの凄く悩んだ上での苦渋の決断でした」と、胸の内を明かしている。

「広島は2年間本当にお世話になった土地です。なんといっても人が優しく、トヨタから移籍してきたボクを暖かく迎えてくれた広島。みなさんの温かい人柄だけでなく、海や山がとても綺麗でご飯も美味しく住みやすい土地、広島はボクにとって本当に大好きな場所となりました。広島ドラゴンフライズでの応援はすごく熱く、ホームでの試合は毎試合気持ち良く自分を奮い立たせてプレイすることができました」

「やはり思い出に残っているのは、大激戦となり90-89で勝利できた2016年4月10日のアイシン戦です。あのときファンのみなさまと一緒に戦った、会場との一体感は一生忘れることができません」

積極補強の栃木、昨シーズンの主力を残した上で竹内を獲得

栃木ブレックスは先週に田臥勇太との契約延長を発表した他、古川孝敏やライアン・ロシターなどの主力選手も残留を決めている。ここに竹内公輔が加わったことで戦力は大きくアップ。昨シーズンのNBLではレギュラーシーズン2位、プレーオフでは準決勝敗退と、優れたバスケットを展開しながら勝ち切れなかった状況から脱し、Bリーグ1年目での優勝を成し遂げるために、超アグレッシブなチーム強化に乗り出し、成果を出しつつある。

現時点で「移籍市場の王者」を決めるとしたら、間違いなく栃木ブレックスだろう。もっとも、まだ開幕は先の話。どのチームも、より充実した戦力でBリーグでの挑戦をスタートさせるべく動いているはずである。今後、どのチームがどんな動きを見せるのかが楽しみだ。