文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

1ポゼッション差を行き来する息詰まる攻防に

栃木ブレックスとレバンガ北海道のゲーム2。チャンピオンシップを左右する直接対決とあって、文字通り一進一退の攻防が最後まで続いた。それでも栃木のファウルトラブルを機に攻め立てた北海道がリードチェンジ4回、同点になること12回のシーソーゲームを制した。

第1クォーター、北海道がトランジションオフェンスから7-0と走り開始6分で15-8とリードするが、栃木も5つのターンオーバーを誘発した強度の高いディフェンスで立て直し、ジェフ・ギブスのインサイドプレーなどで19-20と追撃した。

第2クォーター、竹内公輔がこの試合初となる速攻を決めて栃木が同点に追いつくと、得意の堅守速攻で8-0と走り逆転。それでも北海道は栃木の勢いに飲み込まれることなく、マーク・トラソリーニ、桜井良太の3ポイントシュートで立て直し、シュート精度で上回って再び逆転した。

後半に入っても2ポゼッション以内の拮抗した展開が続く。栃木がショウディフェンスからのハードプレッシャーでターンオーバーを誘発すれば、北海道はマッチアップゾーンで得点源を封じる。強いて言えば、栃木は56.3%とフリースローが低調だったことが後の展開に響いた。

ギブスのファウルトラブルを機に崩れた栃木

その後もギブスのバスケット・カウントや折茂武彦の3ポイントシュートなど互いに譲らず、68-68と互角の状態で第4クォーターのオフィシャルタイムアウトを迎えた。

ここまで続いた均衡が破れたのは残り3分36秒のこと。ギブスが4つ目のファウルを犯しベンチに退いたのがきっかけだった。ここまで25得点を挙げていたオフェンスの要を失い、さらにこのファウルで栃木のチームファウルは5に到達。インサイドでイニシアチブを握った北海道は、直後のオフェンスで栃木のディフェンスローテーションミスを見逃さず、トラソリーニのダンクで72-70と逆転。その後はチームファウルの優位を生かし、フリースローで加点していった。

ライアン・ロシターにティップを許し、3点差と追撃され迎えた残り32秒、北海道はディジョン・トンプソンが時間を使い、自らプルアップジャンパーを沈め勝負を決めた。なおも栃木はファウルゲームを仕掛けるが、北海道はフリースローの得意な多嶋朝飛にボールを集め、その多嶋が残り18秒から得た6本のフリースローをすべて沈めて、83-77で逃げ切っている。

前日の課題を修正し、ボールへの執念で栃木を撃破

勝利した北海道の水野宏太ヘッドコーチは「昨日取られた20のオフェンスリバウンドを7に減らしたこと」を勝因の一つに挙げた。惜敗した第1戦ではオフェンスリバウンドで20-12と大きく水をあけられ、セカンドチャンスから19点を失ったが、第2戦では7-7とオフェンスリバウンドで互角に戦ったことが大きかった。

最終クォーター残り3分を切った場面では、両チームともに多くの選手が一つのボールを追いかけコートにダイブ。結果的に桜井良太が競り勝ち、セドリック・ボーズマンのファウル判定となって、北海道はフリースローを得た。このシーンを振り返り水野コーチは言う。「フィフティーフィフティーの状況の中で、5人全員がルーズボールを取りに行く執念を見せた。そうした一つひとつの執念がプレーで体現されて勝つことができた」

敗れはしたものの、随所でビッグプレーを連発した栃木の渡邉裕規は「ウチが勝つような試合内容でしたし、オフェンスで落胆する必要はそんなにない」とポジティブに試合を振り返った。それでも「トランジションディフェンスが良くなかったかな。良い時間を長く作ることができなかった。そこで勝ち切れないのは力がないということ」と敗戦を正面から受け止めた。

これで北海道は栃木とのゲーム差を3に戻し、チャンピオンシップ進出に望みをつないだ。だが直接対決で負け越しているため、実質4ゲーム差と依然厳しい状況に変わりはない。それでも「コントロールできないものに関しては考えずに、一戦一戦戦っていかなくてはいけない」と水野コーチが言うように、目の前の試合にすべてを注ぐ気概で悲願のチャンピオンシップ出場を目指す。