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最愛の妹を亡くした辛さから逃れるために強行出場

今から約1年前、プレーオフ開幕を翌日に控えた日の朝、アイザイア・トーマスは最愛の妹を交通事故で亡くした。当時セルティックスのエースだったトーマスは、突然の訃報に悲しみを抱えながら、チームのため休まずプレーを続けた。

実はトーマスは、昨年の3月に股関節を痛めていた。強行出場を続けた代償は大きく、キャバリアーズとの東カンファレンス決勝 第2戦で身体が限界を超え、第3戦から欠場。シーズンオフにはカイリー・アービングと交換でライバルのキャブズにトレードされ、実戦復帰を果たすまで長期間を要した。その後もドタバタは続き、今年の2月にはレイカーズにトレード。そして3月末、トーマスは股関節の手術を受け、今シーズン残り試合を欠場することになった。

4月6日のティンバーウルブズ戦でメディアの取材に応じたトーマスは、昨シーズンの強行出場について「後悔していない」とコメントした。プレーを続けたことで妹の死を感じずにいられたかどうかを聞かれると「そう思う。あの時はバスケットボールしか自分の気持ちを保つ手段がなかった」と答えた。

もしトーマスが無理に出場せず治療に専念していたら、カイリー・アービングとの大型トレードで加入したキャブズで本来のパフォーマンスを披露できていたかもしれない。ケガの影響を引きずり、キャブズでもレイカーズでも実力を発揮できなかった今シーズン、スタッツは15.2得点、キャリア最低の3ポイントシュート成功率29.3%となった。

これは今オフにフリーエージェントの権利を取得するトーマスにとってマイナスでしかない。レイカーズに残るにしろ、他チームに移籍するにしろ、単年契約しか提示されないと見られ、トーマス本人が希望している大型契約を手にするには、来シーズンこそ本来の実力でチームを引っ張り、アイザイア・トーマスここに在りという姿を見せなければならない。

それでもトーマスの心に後悔の念はない。妹との突然の別れを受け入れられるはずもなく、バスケットボールに頼らざるを得なかったのだから。

あれから1年、トーマスの心に空いた大きな穴はどれだけ埋まったのだろう。トーマス本人も答えを模索している最中かもしれないが、旅立った妹は完全復活を果たす兄を天国から見守っていてくれているはずだ。